スカウト陣が新型コロナウイルス感染拡大の影響で開店休業状態に追い込まれている。

 緊急事態宣言下のプロ野球は開幕の見通しが立たず、5月中の開幕も絶望視され各球団は軒並み全体での活動を休止している。アマチュア球界も揃って活動停止状態。春のセンバツ高校野球が史上初の中止に追い込まれ、それ以降の地方大会も中止や延期が続出。この流れは大学、社会人野球にも例外なく及んでおり、スカウト陣の多くが「自宅待機」を余儀なくされている。

 ある球団のベテランスカウトは「高校野球を例に挙げてみても、練習をしている学校がない。隠れて練習していた私学の監督のクビが飛んだという噂もある。今の情勢ではもし練習を再開したとしてもこちらも気を使うし、先方からも『来ないでください』と言われてしまう」と語る。また別の球団スカウトは「この時期に試合や練習を見られないというのは結構な死活問題。今年のドラフトは(スカウティングの)力量差の出にくいドラフトになる」とし、その根拠を続けた。

「例えば今の時期、高校野球で練習試合や地方大会を見ていると棚からボタモチ的なことがあるわけですよ。狙っている選手の練習試合を見に行って相手チームにキラリと光る逸材がいるとか。そういうポッと出てくる選手を見つけて夏から秋へと追いかけていくのがこの職業の喜びでもある。特に野手は試合の4打席だけでは分からない隠れた技術や性格面を普段の練習で見極めることも重要だったりする」

 この「掘り出し物」を探す眼力は12球団のほぼ全てが把握する1位、2位の上位指名候補に関してはもちろん、力量差が出てくる3位以降の指名選手により効果を発揮してくる。しかし、新型コロナ禍により現場訪問が遮断されている以上、その眼力を持ち合わせている球団ほどドラフト本番での苦戦が想定される。