あまりのFA格差にロッテ・荻野貴司外野手(34)への同情論が集まっている。

 28日、都内で行われた「第48回三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式が行われた。ロッテからは外野手部門で10年目の荻野が悲願の初受賞。壇上でゴールデン・グラブを受け取った荻野は「まずは1年間ケガなく野球ができたことはよかった。本当に10年目にして初めて1年間野球ができたので充実した1年でした。来年もチームを勝利に導けるプレーをしっかりやっていきたい」と受賞の喜びを語った。

 卓越したスピードを備えながら荻野のプロ野球人生はまさにケガとの闘いだった。1年目、2010年の右膝半月板損傷に始まり、14年の左肩関節窩骨折、16年左内腹斜筋肉離れと二頭筋肉離れの相次ぐ負傷。昨年も右手第二指基節を骨折と満足なシーズンを送ったことがなかった。

 そんな不遇を経て、今季はキャリアハイとなる125試合に出場し10年目で初の規定打席到達。打率3割1分5厘、10本塁打、28盗塁にリーグトップの35二塁打、7三塁打とそのスピードを生かしたプレーが攻守で開花。いずれも初となるGグラブとベストナインをダブル受賞した。

 その荻野は今季中に取得した国内FA権を行使せずロッテへの残留を決断。「10年間ロッテでお世話になっていろんなケガをしましたけど、ここまでユニホームを着させてもらって、まだまだ恩返しができていない」とチームへの“男気残留”を果たした。

 しかし、この決断には「あっぱれ!」という声がある一方で「権利を行使した大地と比べて(FA)格差が激しすぎる」と引き留めたロッテ側の待遇に首をかしげる見方もある。

 ロッテの内情に詳しい球界関係者はロッテが荻野引き留めに提示した来季年俸が「わずか1500万円アップの年俸6000万円」とした上で、当初本命だった巨人をソデにし、楽天に逆転移籍を決めた前主将・鈴木大地内野手(30)の新契約を「出来高込みの4年総額12億円と聞いている」と明かす。

 続けて「かたやFAを行使して年俸が3倍増の3億円。ケガ続きで、それでも残してもらえた恩義があるとはいえ、ベストナインに選出される働きをして昇給がたったの1500万円では寂しすぎる。その評価には夢も希望もない」と荻野の“ボランティア残留”を哀れんでいた。

(金額は推定)