阪神の打撃コーチに新たに就任した北川博敏コーチ(47=前ヤクルト二軍打撃コーチ)が25日、兵庫・西宮市内の球団事務所で会見に臨み、意気込みを語った。

「矢野監督本人から、『力を貸してほしい。打者の底上げを手伝ってくれないか』とお電話を頂いた。プロ1年目の時と同じユニホームを着ることができてうれしい」と笑顔を見せた北川コーチは、1994年にドラフト2位で阪神に入団し2001年から近鉄(当時)へ移籍。優勝へのマジックを1とした同年9月のオリックス戦で放った「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾」は球史に残る名シーンとして多くの野球ファンの記憶に今も刻まれている。

 今季、慢性的な得点能力不足に悩み続けた矢野阪神にとって、勝負強い打撃が持ち味だった北川コーチの加入は心強いばかり。「勝負強さというのは半分は運だと思う。あとは負けん気の強さ。技術以外の精神的なところも含めて、他チームでいろいろ学んできたことを伝えていきたい」と抱負を語った。

 ヤクルトでの二軍打撃コーチ時代には、今季36アーチを放った村上の成長を見守ったが「絶対に、この質問出てくると思いましたが、僕は村上のこと育ててません! あの子は、もともとポテンシャルのある子なので、技術的なことも含め何も教えなくても伸びていきました。育ててません!」と“自虐”トークで報道陣を笑わせる一幕もあった。“矢野ガッツ”に象徴されるように、感情を前面に出す野球を標榜する阪神にとっても、新コーチの明るいキャラクターは間違いなくプラスになりそうだ。

 会見に同席した谷本球団本部長は、北川コーチの一、二軍への振り分けは現段階では行わず「(31日から高知・安芸で行われる)秋季キャンプを通じて、今後決めていきたいと思います」と語った。