赤ヘルのエースがまさかの大炎上だ。首位巨人相手に“最後のとりで”として先発した広島・大瀬良大地投手(28)は序盤に7安打3四球の大乱調で今季最短2回1/3、自己ワーストタイの10失点でKOされた。

 鯉党の悲鳴が延々とドームにこだました。長い悪夢となったのは3回。先頭の亀井に与えた四球をきっかけに岡本の3ラン、3連続二塁打を含む6連打とつるべ打ちされた。大瀬良はなおも一死二、三塁と危機を広げ、ここで緒方監督は塹江にスイッチ。若い左腕も勢いは止められず、丸に満塁弾を浴びてこの時点で1―12。よもやの展開で試合は決まった。

 3連勝をかけて臨んだ直接対決に負け越し、チームは事実上の終戦を迎えた。ぼうぜん自失の大瀬良は「本当に情けない。結果的にこうなって申し訳ないです」と頭を下げたが、見逃せないのはベンチが右腕と同じタイミングで捕手も会沢から磯村に代えたことだろう。

 緒方監督は「今日はカープの野球というか、ウチの野球ができなかった。エースが打たれ、外野手も球際の弱さをみんな出すし…。大事な試合でファンの皆さんに申し訳ない」とわびたが、会沢の交代については「コメントしづらいね」と明言せず。植田バッテリーコーチもしばし沈黙の後に「投手との兼ね合いもあるから…」と答えた。

 今季の大瀬良は巨人戦3試合で1勝1敗、防御率9・42。CSを勝ち上がったとしても巨人との再戦が不可避な以上、大きな不安を残す結果となった。捕手にも責任の一端を負わせたことからも、首脳陣のバッテリーに対する信頼の揺らぎが見て取れる。

 試合後のチーム内からは「アツ(会沢)は責任感の強い男。こういう試合の途中に下げられたことはショックだと思う」と選手会長の心中をおもんぱかる声も聞こえた。リーダーである会沢の立場が揺らげば波紋はチーム全体に広がる。4連覇の大目標を失った広島が心配だ。