1808年9月25日、スコットランドのオークニー諸島のひとつ、ストロンゼー島に奇妙な死体が漂着した。それはどこかで見たような生物が組み合わさりながらも、どこにも存在しないような姿をしていた。
その生物の体長は17メートル近くあり、首の長さだけでも3メートルほどで、首や尾はヘビのような形状をしており、やや太くなっている胴体部には3対の足がはえていた。首の先端には小さい頭がついており、羊のような目をしていたと言われている。
首から尾にかけて剛毛と言っていいほどのたてがみがあり、それは銀色で、一説によると暗闇の中で光るという話も残されている。全体は灰色で、荒れているような皮膚をしていたそうだ。
魚類のようではなく、質感も肉の弾力もどちらかというと、牛のような哺乳類に近かったという報告もある。
このストロンゼー島は今でこそ農業が中心の産業となっているが、18世紀から19世紀にかけては、ケルプと言われる海藻類の収集とニシン漁が盛んだった。現在の人口は340人ほどだが、当時はケルプ収集とニシン漁で5000人も働いていたというから驚きだ。
エディンバラの学会は、その死骸を解剖したが何の生物なのか確認することはできず、新種の海ヘビのような存在なのではないかと結論づけた。その解剖の際、皮膚の厚みは2センチほどだったそうで、胃の中は真っ赤だったという。
このストロンゼー・ビーストは解剖までされたのにもかかわらず、写真も骨や毛も残されておらず、現存するのは当時のスケッチだけだ。もし、このような形状の脊椎動物がいるとしたら非常に興味深い。
オークニー諸島は野生動物の宝庫で、魚や海鳥だけでなく、アザラシやイルカ、カワウソも見られるそうだ。
実際のところ、この未確認生物の正体はウバザメの死骸だったのではないかと言われている。ウバザメはあらゆる魚類の中で2番目に大きく、通常は全長3~8メートルにもなる。希少ではあるが、大きいものでは9~10メートルの個体が確認されている。最大は1851年にカナダ・ファンディ湾で捕獲された12メートルを超えるものと言われている。
ウバザメは死んで腐敗が進むと、あの特徴的な大きなアゴの骨が取れてしまい、一見してサメと認識できない場合があるそうだ。そのように形状が変わってしまったウバザメを首長竜のような未確認生物と誤認して、騒がれてしまったのかもしれない。











