デビュー50周年を迎える〝ミスタープロレス〟天龍源一郎(76)に単独インタビュー。秘めたるプロレス界への提言とともに、テレビ出演時の〝秘話〟も明かした。【前後編の後編】

現在も「天龍プロジェクト」を開催し、マット界に貢献している
現在も「天龍プロジェクト」を開催し、マット界に貢献している

 ――現在もプロレスは見ているか

 天龍 プロレスは格闘時間の長いスポーツだから尊敬されるもの。今はそこが抜けてるよね。俺たちの時代は盛んに八百長だとか、いいかげんだとか言われていたのと戦ってきた時代だった。こんな時代だからこそ、肉体のせめぎ合いを見せてお客さんを納得させてほしい。技量の比べ合いみたいなところにエンターテインメント性が入ってくると、お客さんも一番楽しいわけだよ。今のヤツらは笑わせようとか、ウケようとかいうのがもう端的に見えちゃってるから、ちょっと違うと思うよ。

 ――最近見た中で良いと思った選手は

 天龍 テレビで見たけど、新日本プロレスで原点回帰をした試合があったね。

 ――今年のG1クライマックス決勝(8月16日、両国大会)の大岩陵平 vs 上村優也だ

 天龍 プロレスは、もう行きつくところまで来ていて、天井のライトから飛び降りてお客さんを沸かすしかないと思っていた自分もいた。そこでの原点回帰。こういうプロレスは昔からやってるんだけど、お客さんが初めて見せられたように拍手するのを見て、俺はうれしかったね。ヘッドロックを取ったらヘッドロックに戻る。腕を取ったら腕に戻るのがプロレスの基本。ここからまた飛んだり跳ねたり、いろんなプロレスがミックスされてきて、これからプロレスの面白さが倍増すると思うよ。

クラシックな攻防中心ながら、新鮮さも光った大岩陵平(下)vs上村優也のG1優勝決定戦
クラシックな攻防中心ながら、新鮮さも光った大岩陵平(下)vs上村優也のG1優勝決定戦

 ――引退前後にはテレビに出る機会も増えた

 天龍 プロレスを頑張った時の何十分の1かの出演料があって、これが永遠に続くもんだと思ったら何年かで終わったね。またこれを読んで、制作の人が興味を持ってくれたらうれしいよ。

 ――特徴的な声質を〝イジられる〟ことに抵抗は

 天龍 見てる観点が違うよ。こんな人の声をクリアに拾うソニーのマイクがすごいんだ(笑い)。

 ――失礼いたしました

 天龍 ダウンタウンの番組に出た時に、テレビ局の廊下で松本人志さんとすれ違ったことがあった。最初は気づかなかったけど、お付きの人に名前を聞いたら松本さんだったんだ。メインのキャストの人だと思って追いかけて「おはようございます。天龍です」ってあいさつをしたんだ。

 ――すごい話だ

 天龍 あいさつは大事だよ。いろんなことをやらせてくれて、楽しかったけど、割り切らないと難しい職業だね。

 ――今後の目標は

 天龍 ことさら構えるつもりはない。本当になすがままだよ。日々健全に過ごせれば満足。50周年を乗り越えるために健康でいなきゃいけないね。

 ――本紙では来年2月に連載企画もスタートする予定だ

 天龍 俺の人生をつらつらしゃべります。どう感じるかは読んでくださる方の自由です。くだらない話が7行は入っていてもらいたいね(笑い)。

2015年の引退後も、天龍源一郎はマット界に鋭い視線を送っている
2015年の引退後も、天龍源一郎はマット界に鋭い視線を送っている

 ☆てんりゅう・げんいちろう 1950年2月2日生まれ、福井・勝山市出身。大相撲では西前頭筆頭まで進み、1976年10月に全日本プロレスに入団した。その後はSWS、WARなどでも活躍し、「ミスタープロレス」の異名をとった。ジャイアント馬場、アントニオ猪木両名からピンフォール勝ちを奪った唯一の日本人レスラー。2015年11月両国国技館で、オカダ・カズチカとのラストマッチを行い、引退した。