帰ってきた主将が、ニューヨークの空気まで一変させた。ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(34)が8日(日本時間9日)、本拠地ヤンキー・スタジアムでのロッキーズ戦に「3番・外野手」で先発し、5月31日(同6月1日)以来となるメジャーの舞台に戻った。チームは5―3で勝利。待ちわびた背番号99の姿にスタンドは沸き返った。
4月下旬のダイビングキャッチをきっかけに右第1肋骨を疲労骨折したとみられ、60日間の負傷者リスト(IL)入りしていた。84試合を欠場し、マイナーでのリハビリ出場も経ないまま実戦復帰。初打席では「MVP」コールを浴びたが、結果は3打数無安打、2三振。長いブランクの影響は隠せなかった。
それでも、復帰戦で最も強烈な印象を残したのはバットではなく、勝負への飢えだった。6回を終えたところでブーン監督から交代を告げられると、ダッグアウトの階段付近で言葉を交わし、不満を隠さなかった。試合前から5~7回程度で退く可能性は伝えられていたが、ジャッジは「彼が言うことには従う。でも、この状況には満足していない」と率直に口にした。さらに「できれば6イニング以上プレーしたい」と、もっとグラウンドに立ち続けたい思いもにじませた。同サイトも、慎重に起用したい首脳陣と、すぐにでもフル出場したい主将の温度差を克明に伝えている。
ブーン監督も、その反応を問題視するどころか「彼の中の競争心は試合に出たいという気持ちでいっぱい」と理解を示した。一方で、復帰直後だけに「特に最初の数試合では、賢明な判断を下すのが私の仕事」と慎重姿勢を崩していない。6回まで守備機会はなく、無理をさせる必要がない状況だったことも交代判断につながった。
ジャッジに代わって出場したラモスは8回に11号3ランを放ち、先発のシュリットラーも7回1失点、10奪三振の快投。主将が打てなくても白星をつかんだのは、今のヤンキースには心強い材料だ。
82勝62敗としたヤンキースはア・リーグ東地区首位レイズを4ゲーム差で追い、レッドソックスとは3ゲーム差という緊迫した終盤戦にいる。ジャッジの打棒が本来の姿を取り戻すまでには、時間が必要かもしれない。それでも6回で退くだけでは物足りないほどの闘争心は、夏場を主将不在で耐えてきたチームに新たな熱を持ち込む。
10月へ向けて必要なのは、本塁打だけではない。勝ちたい、もっと出たい、最後まで戦いたい――。帰ってきた背番号99がむき出しにしたその執念こそ、ヤンキースをもう一度加速させる〝復活のスイッチ〟になりそうだ。












