今オフ、FA市場で〝腕組み男〟が主役になりそうだ。マリナーズのランディ・アロザレーナ外野手(31)を巡り、早くも争奪戦の気配が漂っている。米メディア「ヘビー」は8日(日本時間9日)、今季終了後にフリーエージェント(FA)となる実績十分のスラッガーについて、ダイヤモンドバックスが有力な移籍先になると予測。その一方でマリナーズにも残留させる十分な理由があるとして、今オフの綱引きに注目した。
アロザレーナは今季ここまで打率2割7分3厘、22本塁打、66打点、21盗塁、OPS0・835。これで2021年から6年連続となる「20本塁打&20盗塁」を達成した。通算でも140本塁打、152盗塁を記録しており、長打力と機動力を併せ持つ。右の強打者が手薄とみられる今オフのFA市場では希少価値も高く、ヘビーのみならず多くの米メディアがアロザレーナを「引く手あまたになる」と見ている。
新天地の最有力候補として浮上しているのが、ダイヤモンドバックスだ。同メディアは、同球団が打線にもう一枚の強打者を加えたい事情を挙げ、資金を投入する意思があるならアロザレーナは「非常に大きな戦力」になると分析した。外野陣には選択肢がそろっているものの、打撃力を生かす起用法は十分に描けるというわけだ。
日本のファンにも忘れがたい男だ。2023年3月20日(日本時間21日)、米マイアミで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝の日本―メキシコ戦。メキシコ代表だったアロザレーナは3―0の5回、現在はブルージェイズでプレーする岡本和真内野手(30=当時巨人)が放った左翼への本塁打性の大飛球をフェンス際でジャンピングキャッチした。しかも直後には、涼しい顔で両腕を組むおなじみのポーズ。侍ジャパンの反撃ムードを一瞬封じ、日本中に強烈な印象を残した。
その勝負強さとスター性まで買われてアリゾナへ渡るなら、穏やかではないのが同じナ・リーグ西地区のドジャースだ。ダイヤモンドバックスは今季もポストシーズン争いを続けており、攻撃面で実績十分のアロザレーナが加われば、来季の地区V争いでドジャースにとって新たな〝難敵〟が加わることになる。大舞台にも強い男だけに、ポストシーズンまで勝ち上がってくれば、その存在感はなおさら不気味だ。
もっとも、話は単純な「流出」では終わらない。「ヘビー」はマリナーズ側にも残留させる合理性があると指摘する。24年途中にレイズから獲得して以降、打線の中心を担ってきた一方、チームは昨季のア・リーグ優勝決定シリーズ進出から一転して今季は苦戦。アロザレーナまで失えば、来季の巻き返しへ中軸打者を新たに複数確保する必要が生じる可能性があるという。
守備面への懸念や、31歳のFA選手へどこまで大型投資するかという判断材料はある。それでも、実績、希少な右打ち、走攻を兼備したプレースタイル、そして大舞台での華まで備える男を市場が放っておくとは考えにくい。ダイヤモンドバックスが本気で奪いに行くのか、マリナーズが引き留めるのか。あの〝腕組み〟で日本をざわつかせた男が、今度はストーブリーグの主役としてMLBをざわつかせそうだ。












