「10月の男」は大谷ではない。ポストシーズンを目前に控え、ミルウォーキーで22歳の若武者が〝主役交代〟を告げる猛アピールを続けている。ブルワーズのジャクソン・チョウリオ外野手(22)が8日(日本時間9日)、本拠地カブス戦で土壇場の一発を放った。1―3の9回二死、前打者の安打で走者を置くと、85マイル(約137キロ)のチェンジアップを左翼席へ。飛距離394フィート(約120メートル)の22号2ランで同点とし、チームは延長10回に4―3でサヨナラ勝ちした。チョウリオは4安打を放ち、逆転劇の中心にいた。
前日7日(同8日)の同カードでも、8回に勝ち越しの2点適時打を放った上、9回にはヒット性の打球をスライディングキャッチして試合を締めた。「そういう瞬間のために生まれてきたように感じる。プレッシャーが好きだし、楽しい」と胸を張るあたりも、いかにも大舞台向きだ。
今季は111試合で打率2割8分6厘、22本塁打、63打点、16盗塁、OPS・827。直近15試合も打率3割3分3厘、5本塁打、13打点と上昇一途だ。しかも2024年のポストシーズンは打率4割5分5厘、2本塁打、昨季も打率3割3厘、2本塁打、8打点。米スポーツメディア「ヤードバーカー」が「ブルワーズの『ミスター・オクトーバー』になる準備が整った」と評したのもうなずける。
その視線の先にいるのがドジャースだ。昨季のナ・リーグ優勝決定シリーズではブルワーズが4連敗で屈し、決着した第4戦では大谷翔平投手(32)が6回無失点、10奪三振に加えて3本塁打。歴史的な二刀流ショーでシリーズMVPまでさらい、ミルウォーキーを完膚なきまでに沈めた。
だが、その大谷は今、昨秋とは様相が違う。左膝や右上腕、首など複数箇所に不安を抱え、7日(同8日)に4試合ぶりに先発復帰したものの、8日(同9日)は再びスタメンを外れ、直近6試合で5度目の先発落ち。投手としても7月3日を最後に登板しておらず、今季中の再登板の可能性は本人も口にしている通り、ほぼ消滅した。事実上の〝一刀流〟で10月を目指す一方、打撃も直近7試合で打率7分7厘。状態が上向く保証はない。
一方のブルワーズは90勝56敗でメジャー最高勝率を走り、ドジャースも88勝57敗で追う。現状の順位通り両軍がナ・リーグの上位シードを確保し、地区シリーズを突破すれば、昨季に続くリーグ優勝決定シリーズでの再戦が見えてくる。
昨秋は大谷がブルワーズの10月を終わらせた。だが同じ舞台にたどり着けば、今度は勝負どころを楽しむ22歳が王者に悪夢を見せる番かもしれない。チョウリオが「ミスター・オクトーバー」を襲名する時、ドジャースの3連覇ロードはミルウォーキーで断ち切られる――。そんな筋書きが、急速に現実味を帯び始めている。












