主役はグラウンドの中だけではなかった。ホワイトソックス・村上宗隆内野手(26)が5日(日本時間6日)のツインズ戦で待望の30号2ランを放った直後、今度はスタンドの男性ファンが〝神業〟を披露。とんでもない速度で飛び込んできた本塁打球を、左手一本で素手キャッチして球場を沸かせた。

 この日の本拠地レート・フィールドで行われたツインズ戦で村上は、初回一死一塁から相手右腕のスプリットを逆方向の左翼席へ。8月18日(同19日)のカブス戦以来18日ぶりの一発となる先制弾をぶっ放し、チームに2点をプレゼントとした。メジャー1年目で大台に到達し、日本出身選手では史上4人目のシーズン30本塁打となった。

 しかし、その同じ初回にもう一つの〝ビッグインパクト〟が起きた。村上の次の打者ベニンテンディが倒れて二死となった後、コルソン・モンゴメリー内野手(24)が右翼へ31号ソロ。打球速度は112・3マイル(約180・7キロ)、飛距離372フィート(約113メートル)という弾丸だった。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は6日(現地時間)、この一発を巡るスタンドの出来事をクローズアップした。右翼ポール付近へ猛烈な勢いで飛び込んだ打球を、ホワイトソックスファンの男性がグラブも着けず、何と左手だけのワンハンドでダイレクトキャッチ。男性自身も口を開けたまま固まるほどのスーパーキャッチに、周囲から大きなどよめきと歓声が起きた。

 しかも、出来過ぎた背景まであった。Tシャツ姿の男性は姓を明かさず「ジョー」と名乗り、この日が誕生日で今季初観戦だったという。高校時代は外野手だったが、この日はグラブを持参していなかった。それでも父親から試合前に「うまくいけばボールをキャッチできるよ」と誕生日メッセージを受け取り、自身も捕球を目指す趣旨で返信。まさかの〝予言的中〟となった。

 ホワイトソックスは初回に村上、モンゴメリーの一発で3点を先行しながら、中盤に逆転を許して4―6で敗戦。74勝68敗となったが、ア・リーグ中地区では2位ガーディアンズに2・5ゲーム差をつけて首位を守っている。

 村上の復活弾は勝利につながらなかったものの、時速180キロの一球を巡る「ジョー」の活躍で、シカゴのファンには忘れられない夜になった。