プーチン大統領の北方領土訪問を高市早苗首相が批判したことに対し、ロシア外務省は18日、武藤顕駐ロシア日本大使を外務省に呼び出した。同省は武藤氏に、日本政府が北方領土に対するロシアの主権に疑義を呈そうとすることは「容認できず、違法である」と抗議した。
ミハイル・ガルージン外務次官は武藤氏に対し、「南クリル諸島に対するロシアの管轄権と主権は揺るぎないものだ」と強調。「これらの領土は、連合国による関連合意および国連憲章によって確定された第2次世界大戦の結果として、わが国に帰属した。この明白な現実に疑問を呈そうとするいかなる試みも、断じて容認できず、違法である」とロシア側の立場を主張した。
ガルージン氏はさらに、日本がロシアに制裁を科し、ウクライナの「キーウ政権」を支援することで、ロシアに対する敵対姿勢を示し続けていると主張。ロシア側は対抗措置を取る権利があるとした。
プーチン氏は先週、初めて択捉島を訪問した。これを受け、日本外務省はニコライ・ノズドリェフ駐日ロシア大使を呼び出して抗議。高市氏もプーチン氏の訪問を「受け入れられない」とし、択捉島は「日本固有の領土」との立場を示した。
日本政府は北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方四島)を日本固有の領土と位置づけている。一方、ロシア側は北方四島を「南クリル諸島」などと呼び、第2次世界大戦の結果としてソ連領に編入され、現在はロシア領であるとの立場を取っている。
ロシア要人による北方領土訪問はこれまでも日ロ間の火種となってきた。前大統領のメドベージェフ氏は2010年、当時大統領としてロシア国家元首として初めて国後島を訪問。その後、首相時代を含め、国後島と択捉島を計4回訪れている。21年にはミハイル・ミシュスチン首相も択捉島を訪問し、そのたびに日本側が抗議してきた。
しかし今回は、北方領土問題にウクライナ侵攻後の制裁をめぐる対立も重なり、険悪になっている。
ロシア事情通は「異例なのは、ロシアが日本の領土主張とウクライナ問題を同じ抗議の中で結び付けていることです。以前は北方領土をめぐって対立しながらも、日ロ間には平和条約交渉という外交的な出口が残っていました。しかし、ロシアは2022年、日本との平和条約交渉を継続しないと表明し、北方四島交流なども停止しました。その状態でプーチン氏が初めて択捉島を訪れ、日本が抗議すると、今度はロシア側も日本大使を呼び出して反撃したわけです」と指摘する。
日本が対ロ制裁とウクライナ支援を続けていることへのロシア側の反発が、北方領土問題での強硬姿勢にも表れているとみられる。












