福岡県議会で17日、〝県議会のドン〟こと蔵内勇夫議長への辞職勧告決議案の採決が土壇場で中止となった。直前に中止を求める動議が提出されて可決。固唾をのんで見守っていた福岡県民は多く、SNSでは「腐りきってる」「自民党ひどいな」と非難ゴウゴウだ。
蔵内氏には、高額の海外視察費問題や正副議長ポストをめぐって金銭授受があったとされる〝カツアゲ〟疑惑などが持ち上がっていた。〝カツアゲ〟疑惑を告発した吉松源昭県議が、議長としての信任を失っているとして議長職の辞職勧告決議案を提出した。
決議案には法的拘束力がないにもかかわらず、自民党県議団はなかなか対応を決められないでいた。その結果、午前中に予定されていた採決はズルズルと伸び、約5時間遅れの夕方にようやく開始。〝カツアゲ〟疑惑を否定しながらも議員辞職した中尾正幸前副議長の後任を選んだ後、吉松氏が提案理由を述べたのだが、そこから意外な展開となった。
「動議!」という声が議場内に響き、自民党県議が採決中止を求めたのだ。自民党の林泰輔県議は「疑惑を疑惑のまま明らかにせず断罪することが、この先の県政を担う政治家にどのように評価されるのか」と第三者委員会の調査を待つべきだと訴えた。林氏は蔵内氏の元秘書の1期生で、公式サイトでは蔵内氏のことを〝師〟と呼ぶほどの側近だ。動議の起立採決が行われ、賛成多数であっさり可決。蔵内氏に対する辞職勧告決議案の採決は中止となった。
傍聴席やYouTubeなど中継で採決を待っていた人たちは一斉に批判。「福岡県議会腐ってる」「斜め上をいきますねえ」「悪手を選んだな」とあきれ果てる人が続出した。
もっとも、蔵内氏ら自民党県議団の今後は決して明るくない。17日放送の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)に出演した政治アナリストの伊藤惇夫氏は「日弁連を通すということなのでかなり公正公平な第三者委員会が設置される可能性が出てきているが、委員会の結論が出るのが半年近くかかるんじゃないかという声もある」と長期化すると指摘した。
来年4月には県議選が行われる。県議選前に第三者委員会による疑惑を認定する結論が出れば、自民党は大ダメージを受けることは間違いない。蔵内氏は17日に議会改革にメドがついたら議長職を辞めると明かしたが、採決中止で肩透かしを食らった格好の県民がポジティブに評価するかは分からない。
永田町関係者は「今後、福岡県議会はまとまりを欠くでしょう。そうなると県知事の役割が大きくなる。知事がしっかりしていないと、何も決まらない政治になりかねない」と指摘した。
服部誠太郎知事は蔵内氏が力を入れる人と動物の健康を考える「ワンヘルス」政策の事業凍結を打ち出したばかり。第三者委員会設置もリードし、〝蔵内後〟を視野に動いているようにも見えるが、福岡県政の混迷を制御できるのか。













