81回目の終戦の日となった15日、東京・九段北の靖国神社は例年にも増して、警察官の姿が目立ち、境内の厳粛さとは裏腹に外界は騒がしい一日となった。首相の参拝、コスプレ禁止、国旗損壊罪など話題の件はどうだったのか。

 時の首相が終戦の日に参拝するかどうかが注目される中、高市早苗首相は日本武道館で行われた全国戦没者追悼式に出席する前、駐車場から靖国神社に向かって、二礼二拍手一礼の遥拝(ようはい)を行った。

靖国神社で境内に置かれたコスプレや軍装の着用禁止のお願い
靖国神社で境内に置かれたコスプレや軍装の着用禁止のお願い

 高市首相は首相就任前まで閣僚時代にも参拝は欠かさなかった。態度を変えたのは昨年の総裁選出馬時だ。2024年の総裁選時に靖国参拝を表明し、反発を買った反省から「適切な時期に判断する」と事実上、首相在任時の参拝封印を示唆していた。

 遥拝をしたとはいえ、首相になった途端に参拝を見送ったと映り、一部の保守派や党内からは落胆の声が聞かれたほか、元大阪府知事の橋下徹氏もX(旧ツイッター)で「総理になる前は、あれだけ総理になっても参拝すると息巻いてたのに。総理になれば今の靖国には参拝できないことすら予測できない人に、有事の戦略など立てられるのか」(15日)と批判した。

「靖国を参拝すれば、良好な関係を築いている韓国との間に亀裂が入ってしまう。支持率が高ければ、小泉純一郎首相以来、20年ぶりの参拝もあったでしょうが、今はとてもそんな余裕もないでしょう」(永田町関係者)

 今年の終戦の日で、光景が変わったのは境内だ。これまでは軍服を着た参拝者が目立っていたものの、今年はほとんど見当たらなかった。7日に靖国神社は「英霊がお祀りされる神聖な境内における静謐(せいひつ)と尊厳を維持することを目的に」と境内におけるコスプレ衣装着用の禁止、軍装(軍服・軍事装具)着用の禁止を告知していたからだ。

 神社側のお願いとあって、軍服やコスプレでの参拝を自粛したとみられるが、「コミケ(コミックマーケット)がビッグサイトで開催されていて、コスプレイヤーはそちらに流れたのでは」との声も聞こえた。軍服禁止は終戦の日に限らず、通年のお願いで、靖国神社ではもはや遊就館(宝物館)でしか軍服や軍装は見られなくなるかと思いきや、境内の一角に海軍航空隊の中尉が使用したとされる飛行帽とゴーグルを展示している人がいて、人だかりができた。

天皇制や靖国神社に反対する「8・15反『靖国』デモ」で×印の日本国旗が掲げられた(神保町駅周辺=8月15日)
天皇制や靖国神社に反対する「8・15反『靖国』デモ」で×印の日本国旗が掲げられた(神保町駅周辺=8月15日)

 靖国神社近くの九段下駅や神保町駅周辺では、天皇制や靖国神社に反対する一団がデモ行進を行い、待ち構えるカウンターと一触即発の状態となるのも恒例だ。デモ隊には日章部分に×印をつけた日本国旗を掲げる者がいて、怒りに震えるカウンターからは「国旗損壊罪だろ! 捕まえろ!」と今月13日に施行されたばかりの国旗損壊罪を適用すべきだとの声が飛び交った。

 国旗損壊罪は「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、または汚損する行為」を対象に2年以下の拘禁刑か20万円以下の罰金の罰則が科される。ただ、その適用には表現の自由との兼ね合いから難しい判断が求められ、警察も対応に苦慮しているとみられる。少なくともこの日、国旗損壊罪による現行犯での初の逮捕者が出ることはなかった。