球界の〝金満王国〟を築いたトップ・オブ・トップに、思わぬ火の粉が降りかかっている。米有力紙「ロサンゼルス・タイムズ」は16日(現地時間)、ドジャースのマーク・ウォルター会長(66)の「事業帝国」をめぐる米連邦捜査局(FBI)の捜査状況に焦点を当てた。12日(日本時間13日)には、支配株主だったNBAレイカーズを125億ドル(約1兆9900億円)で売却。その巨額取引の裏で浮上しているのが、ウォルター氏が所有する生命保険会社2社をめぐる巨額融資の問題だ。

 同紙によると、ウォルター氏の持ち株会社「TWGグローバル」傘下の生命保険会社「デラウェア・ライフ」と「クリア・スプリング・ライフ・アンド・アニュイティ」は2月、連邦大陪審の召喚状を受けて内部調査を実施。両社による計210億ドル(約3兆3400億円)の融資について、本来はウォルター氏側とつながりのある「関連当事者」への取引として記録すべきだったことが判明したという。こうした取引は利益相反につながる恐れがあるため、情報開示や規制当局による監視が重要になる。

 深刻なのは、その規模だ。格付け会社「フィッチ」によると、昨年末時点でデラウェア・ライフの関連会社間融資は投資資産の40%に相当し、同社が調査対象とした北米の生命保険会社で最も高い割合だった。保険会社は契約者への将来の支払いを担うだけに、資金の健全性は看過できない。

 さらに同紙は、米経済メディア「ブルームバーグ」の報道として、FBIとともにマンハッタンの連邦検事局や米証券取引委員会(SEC)も連動する当局側がウォルター氏の携帯電話とノートパソコンを押収したとも紹介。捜査では保険会社から出た資金が第三者を経由し、前出のTWGグローバルなど関連事業へ流用されたかどうかも焦点になっているという。

 ただし、現時点でウォルター氏本人や会社はいかなる犯罪でも起訴されていない。TWG側も当局に協力しており、問題が「好ましい形で」解決されることを期待するとしている。元米国検事ジェイコブ・フレンケル氏も、捜査の末に何ら措置が取られない可能性がある一方、複雑な案件だけに結論まで長期化する可能性を指摘した。

 それでも、2012年にドジャースを買収し、巨大戦力を支えてきたウォルター氏の資金基盤に疑念の目が向けられた意味は小さくない。レイカーズ売却で騒動が収束する保証もなく、地元有力紙がここまで大きく焦点を当てた以上、ワールドシリーズ3連覇を狙うドジャースも完全な無風では済まないだろう。グラウンド外から飛び込んだ〝直撃弾〟の行方は、しばらく球団の頭上に居座りそうだ。