卓球のWTTチャンピオンズ横浜最終日(9日、神奈川・横浜BUNTAI)で、きょうだいV達成だ。女子シングルスで妹・張本美和(18=木下グループ)が初優勝、男子シングルスで兄・智和(23=トヨタ自動車)が連覇を達成し、ともに表彰台の頂点に立った。前回大会は美和が2回戦で敗退。リベンジの裏には、美和の〝トラウマ克服劇〟があった。

 先に行われた女子シングルス決勝では美和が陳幸同(中国)に4―2で快勝。妹からバトンを受けた智和も男子シングルス決勝でオ・ジュンソン(韓国)に4―1で勝利を収めた。兄の威厳を示した智和は、野球選手顔負けのスイング動作で喜びを表現。試合後には「1人の優勝よりも2倍も3倍もうれしい。妹からパワーをもらいながら勝ち上がることができた」と声を弾ませた。

 チャンピオンズでのきょうだいVは史上初の快挙。2人で喜びを分かち合った一方で、美和にとっては苦い思い出のある大会だった。

 前回大会の美和は早田ひな(日本生命)に2―3で敗れた。自国選手同士の対戦では、中立の観点からコーチを置かずに試合をするのが慣例。しかし、2―2の最終第5ゲームに早田がメディカルタイムアウトを行使した際、コーチに治療を受けながら会話をする場面があった。ルール上の問題はなかったが、グレーゾーンの行為に美和サイドは困惑。ある卓球関係者は「美和選手はショックを受けていた。メディカルタイムアウト後に逆転負けを喫したので、心の傷になっていた」と証言する。

 不安を抱いて挑んだ今大会は橋本帆乃香(デンソー)との1回戦で、いきなりメディカルタイムアウトに遭遇。橋本が捻挫した影響だった。それでも美和は「フラッシュバックしたし、昨年は『何で?』みたいな気持ちが強かったけど、今年は服を着て座って休憩していた」と冷静に対応。無事に白星をつかんだことで、同関係者は「嫌な思い出を払しょくできたのでは」と指摘した。

 また、今大会は第1シードながら初戦から難敵と対戦。決勝までの5試合で3人の中国選手と対戦するなど、厳しい組み合わせだった。チャンピオンズの抽選に関しては選手から公平性を疑問視する声も上がっているほどだ。美和は「ドローが出た瞬間は気分が落ち込んだ」と明かすも、世界ランキング3位の実力を発揮。別の卓球関係者は「アジア大会(9月開幕、愛知)の金メダルに向けていい流れになるのでは」とうなずいた。

 自らの手で重い扉を開いた美和は「まだまだこれからも(智和と)一緒に優勝できるように頑張りたい」と決意表明。最強きょうだいとして卓球界の歴史に名を刻み続ける。