絶対エースが魅せた。北中米W杯準々決勝(9日=日本時間10日、米国・ボストン)、フランスはモロッコに2―0で完勝。ベスト4進出を決めた。FWキリアン・エムバペ(27=レアル・マドリード)は先制弾を決める活躍で勝利に貢献した。試合前にはビッチ外で騒動に見舞われながらも、自らのプレーで一蹴。得点王争いでもアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(マイアミ)と8得点で並び、再びトップに浮上した。

 試合の流れを引き寄せたのは、やはりこの男だった。両チーム無得点で迎えた後半15分、味方のパスを受けたエムバペはペナルティーエリア左へ進入し、右足でファーサイドへシュート。ボールは緩やかなカーブを描きながらゴールのサイドネットを揺らした。前半28分のPK失敗を自らの足で取り返す、待望の先制弾。エースは胸元で人さし指を立てて誇らしげな表情を浮かべた。

 同21分にはFWウスマヌ・デンベレ(パリ・サンジェルマン)のゴールで追加点。畳みかける展開で一気にモロッコを突き放した。エムバペは同32分に足首の違和感で大事を取り、FWジャンフリップ・マテタ(クリスタルパレス)と交代。ベンチからチームの勝利を見届けると、笑顔を浮かべて仲間と抱き合った。

 試合前にはピッチ外の騒動に見舞われた。決勝トーナメント2回戦はパラグアイのラフプレーに苦しみながらも勝利。試合後にエムバペが相手GKとの握手を〝拒否〟すると、ボールを投げつけられて遺恨を残した。その後、パラグアイの国会議員がSNSにエムバペに対する人種差別的な投稿を行い、フランスサッカー連盟が法的措置の動きを見せるなど波紋が拡大。そんな雑音にも全く動じず、エースの働きをしてみせた。

 この日のゴールで今大会8得点とし、得点王争いでもアルゼンチンのメッシ(マイアミ)と並び再びトップに浮上。W杯通算得点でもメッシの21得点を1点差で追走している。英メディア「トークスポーツ」は「エムバペはメッシでさえ到達できない得点記録を達成する可能性がある」「エムバペは現役引退までにW杯で30得点を挙げられる〝ゴールマシン〟だ」と指摘。ここまでの活躍を見る限り、非現実的な数字ではない。

 試合後のエムバペは途中交代について「少し足首に違和感はあるけど、大丈夫だ。あの時はジャンフィリップの方が自分より良くプレーしてくれるということで、交代は適切だったと思う」と説明。エースの使命を果たす働きには「使命かどうかわからない。とにかくみんなで勝とうとした。そして、とにかく力を緩めることなくここまで来た」と謙虚に語った。

 次戦の準決勝(14日=同15日)はスペイン―ベルギーの勝者と激突する。フランスの主将は「まだ準決勝が目の前にあるし、まだまだ道のりは長い。次の試合に備えて落ち着いてリカバリーしたいとみんなで思っている」と油断なし。2大会ぶりのV奪回まで、あと2勝だ。