幕末のドラマによく登場するのが岩崎弥太郎です。岩崎は1835年に土佐藩の低い身分の武士の家に生まれました。14歳で藩主に才能を認められ、江戸で儒学を学ぶ機会を得ました。その後、長崎に赴任し、藩の開成館長崎出張所の主任に昇進。67年には新留守居役という上級武士にまで出世したのです。
彼は、長崎時代に坂本竜馬らと出会い、その後、海援隊の会計担当を務めるようになりました。
明治維新後は大阪にあった藩の出先機関幹部になりましたが、藩船の払い下げを受けて九十九商会を設立。有力政治家とのコネを利用して「佐賀の乱」「台湾出兵」、そして「西南戦争」に関する輸送業務を独占して急成長を遂げました。その後、社名を郵便汽船三菱会社と改め、鉄道、鉱山、保険、貿易にまで手を広げ、三菱財閥の基礎を築いたのでした。
岩崎が興した会社には、以前は武士だった者が多数いましたが、前垂れをかけて得意回りをさせられたりすると、悔しくて涙を流す者さえいました。それを見た岩崎は、小判が貼り付けられた扇子とともに、「番頭や小僧に頭を下げると思うから悔しくなる。今後はこの扇子を開き小判に頭を下げると思ってやるがいい」という言葉を与えたそうです。
仕事で頭を下げるのはつらいかもしれません。でも、「冗談じゃない!」と反発したら、ビジネスでは失格です。
商売の目的は利益を出すこと。頭を下げてうまくいくなら、こんなにありがたいことはありません。小判に頭を下げるつもりなら、悔しさも減るでしょう。それで利益を得られるというのですから、さすがに商売の天才は違います。












