「スナック」と聞くと、中高年が通う昭和の社交場というイメージを持つ人も多いだろう。ところが最近、私の地元で様子が変わってきた。30代の若いママが切り盛りする「ネオスナック」が増え、客層も20~30代が目立つようになってきたのだ。
一見するとレトロブームの延長にも見えるが、私はもっと別の理由があると思う。若い世代にとって、ネオスナックは「令和版サードプレイス」なのではないかと。サードプレイスとは、自宅でも職場でもない第三の居場所を指す言葉。スターバックスをはじめとするカフェやコワーキングスペースが、その代表例だった。しかし、それらは基本的に「1人で過ごす場所」であり、隣の人と自然に会話が始まることはほとんどない。
一方、ネオスナックは、ママやスタッフを介して初対面同士でも会話が生まれ、世代や職業を超えた交流が自然に広がる。コロナ禍を経てリアルなコミュニケーションの機会が減った今、その役割に改めて注目が集まっているのだ。
ネオスナックの良い点は料金体系が分かりやすいこと。時間制で明朗会計を打ち出し、女性1人でも入りやすい雰囲気をつくっている店が多い。若い世代にとっては、「お酒を飲みに行く」というより「誰かと話しに行く」感覚で利用する人も少なくない。
また、経営する側にもメリットがある。コロナ禍で増えた居抜き物件を活用すれば初期費用を抑えられ、小規模でも始めやすい。利用者は安心して集え、経営者も参入しやすい。この好循環が、ネオスナックの増加を後押ししているように見える。
SNSやAIの普及によって、1人でも不自由なく過ごせる時代になった。ヘタをすると、丸一日誰とも口をきかなかったという日も珍しくない。だが、結局人は、「人とリアルでつながりたい」生き物なのだろう。ネオスナックの人気は、酒場の流行というより、現代人が失いかけていたコミュニケーションへの欲求が形を変えて現れた結果ではないだろうか。












