名門の沈黙が、看板打者への逆風を強めている。ナ・リーグ西地区4位に沈むジャイアンツは14日(日本時間15日)、敵地ドジャースタジアムでドジャースに2―5で敗れ、4連戦を2勝2敗で終えた。イ・ジョンフ外野手(李政厚=27)が5回に同点のランニング本塁打を放つ意地を見せたが、打線全体はわずか2安打。これで今季18勝26敗となり、首位ドジャースとは8ゲーム差。2位パドレスが0・5差で食らいつく構図とは対照的に、本来ならカリフォルニアの宿敵として双璧を成すべきジャイアンツは再び置き去りにされかねない立場にいる。
その重圧を最も浴びているのが、マット・チャップマン内野手(33)だ。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下の米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は15日までに、同内野手が「ホームランスイング」を取り戻せず苦闘している現状を詳報。今季の本塁打は3月31日(同4月1日)のパドレス戦で放った1本だけで、5月は43打数4安打、2四球、15三振。4月30日(同5月1日)のフィリーズとのダブルヘッダー第1戦を最後に13試合連続で得点もなく、これは自身10年のメジャー生活で最長の不名誉記録となった。
数字は問題の深刻さを物語る。平均打球角度は8・1度で、キャリア平均の17・1度から大幅に低下。バットがボールに入る角度を示すアタックアングルも3度にとどまり、リーグ平均の10度を大きく下回っている。一方でバットスピードはメジャー上位8%に入る水準を保っており、衰えよりも技術的な狂いと見る向きが強い。本人も「速球をしっかり捉える練習をしてきたが、普段のようにボールを高く打ち上げられなくなった」と認めている。
チャップマンは2030年まで契約を残す再建の柱だ。昨季も序盤の不振を経て27本塁打まで巻き返した実績があり、球団も復調を待つしかない。ただ、ラファエル・デバース内野手(29)やウィリー・アダメス内野手(30)らの状態が上向き始めた今、中心選手だけが沈黙を続ければ、批判の矛先はさらに鋭くなる。チームが巻き返しの余地を残すほど、主砲の停滞は単なる個人の不振では済まされない。
ドジャースを倒すどころか、パドレスにも主役の座を奪われつつあるジャイアンツ。その象徴としてブルージェイズから24年3月に迎えられた男のバットが目覚めなければ、名門再建の看板そのものが重荷に変わる。












