絶対に起きないはずの事故が起きた。大分県の陸上自衛隊日出生台(ひじゅうだい)演習場で21日午前8時40分ごろ、陸自最新鋭の戦車「10式戦車」の実弾射撃訓練をしていた際、戦車の砲塔内で弾薬が暴発した。搭乗していた隊員4人のうち3人が死亡し、残る1人も重傷を負った。
小泉進次郎防衛相は事故後、国会内で「詳細な事実関係や原因は現在確認中。極めて残念。原因究明、安全管理の徹底に努める」と述べた。
陸自トップの荒井正芳陸上幕僚長が記者会見し、亡くなった3人は砲塔内に、負傷した隊員は車体部にいたと説明した。事故原因を詳しく調べる。
死亡したのは、大分県の玖珠駐屯地に拠点を置く西部方面戦車隊の隊員。指揮する「戦車長」浜辺健太郎2等陸曹(45)、砲弾を撃つ「砲手」高山新吾3等陸曹(31)、安全確認を専門に行う「安全係」金井効三3等陸曹(30)。負傷したのは、戦車の運転に当たる「操縦手」だった。
10式は乗員3人だが、射撃訓練時は安全係も乗車し4人だった。
戦車の事故には、整備中の事故、接触、誤射、弾薬の取り扱い事故、被弾による誘爆などがある。多くは実戦中に起きる。
今回の事故は、平時の訓練中で、砲塔内の暴発によって複数人が同時に死亡、しかも最新鋭の10式での発生と、極めて異例だった。
軍事事情通は「戦車は〝鉄の塊〟で、外部に対する攻撃には強固ですが、内部は圧力容器のようなもので、砲塔内で爆発が起きると逃げ場がほぼありません。そもそも戦車の砲弾の信管は、発射時の強い加速度、飛翔中の回転や距離、目標への衝突など複数の条件がそろわないと作動しません。しかも、10式は弾薬庫が乗員室と隔壁で隔離され、砲弾は自動装填装置によって主砲に装填されるので人的ミスは起こりにくい。それだけに砲塔内の事故は異例です。軍事マニアの間では〝歴史的事故〟と言われています」と指摘する。
最新鋭戦車は、人為ミスが起きても致命的事故になりにくいように設計されている。それでも、砲弾が砲身内で異常爆発する〝腔発〟を防げなかったことになる。
今回の事故は、陸自の中核戦力で最新の安全設計の10式で発生したため、装備、運用、安全設計すべてに影響するレベルとなってしまった。人的ミスか、システムの問題かはまだ分からないが、原因次第で全戦力に波及する可能性がある。












