1979年以来初となる米国とイランの最高レベルの直接対面交渉は12日、決裂した。米国とイランの2週間の停戦を受け、米国のバンス副大統領とイランのガリバフ国会議長が、仲介国パキスタンの首都イスラマバードで〝21時間〟におよぶ戦争終結に向けた協議を行ったが、合意に至らなかった。埋まるはずのない溝があるなかで停戦した理由は何なのか。
バンス氏はこの日、イスラマバードで記者団に「悪い知らせは、われわれが合意に達しなかったということだ。しかし、それは米国にとってというより、むしろイランにとって悪いニュースだ」と述べた。
合意に関して、イラン側が提案した10項目には、ウラン濃縮の権利、制裁解除、戦争に関する補償などが含まれていたとされる。一方、米国側の15項目は、核開発の永久放棄などを求めていた。両者の隔たりは大きかった。
最大の争点は、イランが現在および将来にわたって核兵器開発を行わないと約束することを拒否している点だという。
バンス氏は「われわれは合意に至らないまま帰国することになるが、自らのレッドライン(譲れない条件)、どこで譲歩できるか、どこでできないかは非常に明確にした」と話した。
中東事情通は「合意には至らなかったものの、1979年以来初めてとなる米イラン高官の直接会談が実現したこと自体が前進の兆しです。イラン革命から、イランは『米国に死を』をスローガンに掲げて、国交断絶してきたのに、そのタブーが破られたわけです。しかも、2月28日に米イスラエル軍は、空爆によって最高指導者ハメネイ師を殺害しており、イランは報復を誓っていた中でのことです。バンス氏とガリバフ氏は握手を交わし、会談は落ち着いた雰囲気で行われたそうです」と語る。
とはいえ、そもそも両国の提案は、特に核開発に関しての最終目標が真逆だった。戦争終結のための停戦ではなく、複数の欧州メディアからは、「停戦はフェイク」だと指摘されている。それなのになぜ両国とも「停戦」したのか。
米国事情通は「トランプ大統領は国内向けに戦争をコントロールしていると見せたい。そして、エネルギー市場のパニック回避を狙ったのでしょう。また、部隊再配置と弾薬・ミサイルの補充の時間が欲しかったところです。一方、イラン側は『米国を止めた』と宣伝できる上、再武装の時間が確保できます。特にイラン軍は、ミサイルの多くを地下施設に保管していたものの、米イスラエルの空爆で入り口が破壊されたので、それを掘り起こす時間稼ぎとなるでしょう」と話した。
実際、イスラエルは、停戦発表後にもレバノンへの大規模攻撃を行っているが、米国は事実上黙認している。そして、イランはホルムズ海峡封鎖を事実上続けている。停戦しているものの、終戦への和平プロセスというムードは感じられない。
「2週間の停戦後、米国としては、ホルムズ海峡を支配してイランの海上封鎖、イスラエルと共同でのインフラ・エネルギー施設への空爆、イランの石油輸出の90%が経由するカーグ島の占領、イランが保有する高濃縮ウランの軍事的排除などの軍事オプションを想定しているでしょう」と米国事情通は指摘している。
まだまだ不安定な情勢が続きそうだ。











