果たして球界最高の選手は誰か――。この古典的な論争に、米スポーツ専門局「ESPN」(電子版)が新たな〝火種〟を投げ込んだ。比較対象はそれぞれ昨季両リーグでMVPに輝いたヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(33)とドジャースの大谷翔平投手(31)だ。

 結論は単純ではない。打者としての破壊力ならジャッジ。だが投手として白星まで持ち帰る大谷が、そこに上乗せする価値はやはり断然別格だ。前出のESPNは、この2人を「現代版の頂上決戦」と位置づけた上で打撃部門ではジャッジ優位と分析した。過去2年の打撃生産性、出塁力、アウトの少なさを並べれば、確かにジャッジの数字は異様に強い。さらに右翼守備までこなすことを考慮すれば、野手としての完成度でも一歩前に出る。要するに「打って守る」だけなら、ジャッジが最上位にいるという見立てだ。

ガーディアンズ戦で好投した大谷翔平
ガーディアンズ戦で好投した大谷翔平

 それでも最終盤でこうした評価をいとも簡単にひっくり返してしまうのが、大谷の恐ろしさだ。ESPNは大谷が今季の登板でしっかり投球回を積み上げれば、投手としての上積みによってジャッジを総合価値で「わずかに上回る」と予想している。

 31日(日本時間1日)の本拠地ガーディアンズ戦でも、その構図は早くも現実味を帯びた。大谷は今季初先発で6回1安打無失点、6奪三振で初勝利。打っても開幕5試合(現地時間日時点=以下同)で打率2割、0本塁打、0打点ながら6四球で出塁率4割5分5厘を残している。一方のジャッジは開幕5試合で打率1割5分、2本塁打、3打点、OPS6割4分。打撃だけを切り取れば確かにジャッジの一発は脅威だが、投手の要素も含めると「勝利への関与」の幅では大谷が一歩前へ出ている感が漂う。

 ヤンキースの主砲・ジャッジは世界最高打者、一方の投打二刀流・大谷は唯一無二でMLBの構造そのものを壊すスーパープレーヤー。そんな言い方が最もしっくりくる。ホームランの迫力、打点の量産、打席での威圧感ならジャッジに軍配が上がる日もあるだろう。だが大谷は、その打席の価値に加えてマウンドでも試合を支配できる。比較の土俵が同じようでいて、最後はそこが決定的に違う。ESPNがあえて論争をあおったのも、この2人が似て非なる「怪物」だからにほかならない。