カブスの若きスター、ピート・クルーアームストロング外野手(PCA=23)が、ドジャースファンを一言で敵に回した。発端は地元の米誌「シカゴ・マガジン」3月号の表紙インタビュー。PCAはシカゴを「人が本気で野球を気にかけている街」と持ち上げた一方で、ドジャースファンを「写真を撮りに来るだけの連中」と言わんばかりに比較し、その切り抜かれた言葉がSNSに投下されるや大炎上へとなだれ込んだ。米紙「シカゴ・サンタイムズ」は〝それは有名人になった時に起きること〟と位置づけて擁護したが、後の祭りのようだ。

 この騒動を単なる〝口が滑った〟の一言で片づけるのは、早計かもしれない。PCAはロサンゼルス育ちで、ハーバード・ウェストレイク高出身。いわば「LAの空気」を吸っていたはずが、シカゴの熱量に寄りかかりながら故郷を刺してしまった構図と言えそうだからだ。

 さらに本人は昨年4月、ドジャースタジアムで2発を放った直後に「ここでプレーするのが大好き」とも語っている。つまり「挑発」と「愛嬌」が同じ口から発せられている。ここに炎上の〝燃料〟がある。

 注目すべきは、炎上が「実力の証明書」になってしまう点だ。前出の「シカゴ・サンタイムズ」は、PCA発言の切り抜きが拡散したこととドジャースファンの過剰反応が「火力を増した」と評し、カブスのクレイグ・カウンセル監督(55)も「ある意味で才能の恩恵であり、一種の〝呪い〟だ」とスター候補生であるがゆえに注目される宿命を肯定した。

 しかも今季のカブスは、PCA発言を「ポジティブな物語」に変えられるだけの背景をそろえている。今オフにはエドワード・カブレラ投手(27)を獲得して先発を厚くし、アレックス・ブレグマン内野手(31)とも大型契約。さらに元ドジャースのマイケル・コンフォート外野手(32)もマイナー契約で呼び込み、層を増した。シカゴが「本気で勝ちに行く街」へ舵を切ったタイミングで発せられたPCAの一言は〝Vの導火線〟として機能しやすい――そのようにシカゴ・サンタイムズは論じている。

 数字も「挑発」に説得力を与える。昨季のPCAは打率2割4分7厘、31本塁打、95打点、OPS.768を残し、ドジャース戦では通算打率3割5分、10試合で4本塁打というデータも出ている。口だけではなく、実際に結果を残してきた〝厄介さ〟が、挑発発言をより刺さるものにしたと言えるのかもしれない。

 いずれにせよ敵地での対ドジャース戦では、PCAがLAファンのヒートを買いそうな気配だ。