衆院選(8日投開票)で台風の目となっているのは、AIエンジニアの安野貴博代表率いるチームみらいだ。情勢調査で躍進が伝えられてからは批判の対象にされているが、安野氏は「分断を煽らない」と挑発にも乗らずに〝無血主義〟の独自路線を貫いている。

 みらいは「テクノロジーで政治を変える」を標語にアナログな国会運営や不透明な政治資金のデジタル化を訴え、昨年の参院選で国政政党となった。初挑戦となる衆院選は15人を擁立し、1~2議席獲得とみられていたが、序盤情勢から5議席以上が伝えられると、中盤でも勢いを持続し、2桁予想まで出ている。

 票を奪われかねない他党は一斉に警戒を強めている。れいわ新選組の大石晃子共同代表はニコニコ生放送の選挙公約特番で、みらいが唯一、消費減税を公約に掲げていないことに「君、若いのに大丈夫か? 若返った竹中平蔵? 怖い。資本家の手先」と批判すれば、日本保守党の島田洋一氏はみらいの高山聡史幹事長が昨年出演したネット番組でしどろもどろになった映像に「控えめに言っても、3歳児以下」とこき下ろした。ネット上では「財務省別動隊」「#チームみらいに騙されるな」と包囲網を敷かれる事態となっている。

 しかし、安野氏はそんな批判にも動じない。「分断を煽らない、相手を貶めない、何事も決めつけないを大切にしながら前に進んできた。選挙の関係者や政治評論家からは大変に評判が悪い。『そんなやり方じゃ勝てない』『選挙は敵をつくって分断を煽らないと票なんか入らない』と言われたが、考え方が違っても建設的に話し合うことでよりよい結論に至ることができると信じている」と相手の土俵に乗るつもりはない。

 候補者も同様の考えだ。過去に不倫や公選法違反騒動などお騒がせの候補者が居並ぶ千葉5区に立候補している小林修平氏は「他党のアラを探すヒマがあったら自分たちの政策をちゃんと伝えるところに周知したい。他人を貶めることは絶対にしないというのを決めている」とキッパリ。分断、中傷合戦からは距離を置くみらいがどこまで支持を広げるのか――。

安野氏(右)と千葉5区に立候補した小林修平氏
安野氏(右)と千葉5区に立候補した小林修平氏