今オフのストーブリーグでヤンキースは自軍からFAとなっていたコディ・ベリンジャー外野手(30)、トレント・グリシャム外野手(29)と再契約を交わしたものの、ここまで全体的に見れば思いのほか「静観モード」と言える。その補強戦略に対し、米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」が異例とも言える〝ストップ勧告〟を出し、波紋を広げている。

 同誌が問題視したのは、現在FA市場に残っているベテラン一塁手ポール・ゴールドシュミット(38)との再契約だ。ヤンキースで昨季146試合に出場し、打率2割7分6厘、10本塁打、46打点。数字だけ見れば、そこそこの及第点にも映るが「ON SI」は「再びタッグを組む理由はない」と断言する。

 理由の一つが、ロースターの柔軟性だ。ヤンキースは現状でもベンチ要員が拮抗しており、ゴールドシュミットを加えれば、若手の起用や運用にしわ寄せが生じる可能性が高い。守備位置が一塁に限定される点もネックで、ジャンカルロ・スタントン外野手(36)が守備に就けずDH起用に限定される現状では、なおさら使い勝手は限られる。

 確かに昨季は左投手相手にOPS.981を記録するなど、右打者としての価値は健在だ。ただし同誌は「1ポジション専任のプラトーン打者を抱えることが、勝利への近道とは限らない」と冷静だ。捕手兼一塁手のベン・ライス(26)を中心に据え、継続的な成長を促すべきだというのが主張の核心である。

 一方、MLB公式サイトは「まだFA市場に残る大物」としてゴールドシュミットを高評価。将来的な殿堂入りの可能性やゴールドグラブ4度受賞の実績を強調し「1年限定補強なら最良の選択肢」と太鼓判を押す。

 だが、これに相反するかのように「ON SI」は最後にこう結論づける。「ゴールドシュミットには居場所がある。だが、それはヤンキースではない」。名門誌が突きつけた〝現実路線〟の提言は、沈黙を続けるヤンキースのフロントに何を決断させるのか。「ゴールディー」の異名も持つベテラン野手の去就は、まだ予断を許さない。