【昭和~平成スター列伝】新日本プロレスの辻陽太(32)は6日、団体の最高峰王座IWGP世界ヘビー級王座を分解。IWGPヘビー級王座を復活させ、IWGPインターコンチネンタル(IC)王座を封印した。新日本の最高峰王座は2021年3月にIWGPヘビー級王座とIC王座が統一され、IWGP世界ヘビー級王座が新設された。辻はこれを再び分解し、初代王者アントニオ猪木から始まる伝統の王座を復活させる意向をかねて明かしていた。

帝王にシャイニングトライアングルを仕掛ける中邑
帝王にシャイニングトライアングルを仕掛ける中邑

 IC王座は11年に新設され、中邑真輔(現WWE)が5度の戴冠と通算17回の防衛記録を誇り、自分の色に染め上げ中邑の象徴ともなっていた。くしくもその中邑もかつては王座封印を経験している。IWGP以前に猪木の象徴だった復活NWFヘビー級王座である。

 同王座は猪木が1973年にジョニー・パワーズから奪取。長く新日本の看板王座となったが、81年にIWGP構想のため封印された。だが王座は03年に復活して“帝王”高山善廣が王者となり、7回連続防衛を記録した。04年1月4日東京ドーム大会では、当時IWGP王者だった中邑が高山を撃破。2冠王となるもNWF王座を封印した。本紙は1面でこの試合を報じている。中邑は大みそかのイグナショフ戦で鼻骨を骨折しており、決死の出陣だった。

「中邑は裸絞め、投げ捨てジャーマン、シャイニングトライアングルで勝負を急ぐが、決定打にはならない。逆に高山は21キロの体重差を生かし、ヒザ蹴り、ギロチンドロップ、鼻骨を狙ったエルボーなど非情な顔面破壊を繰り返した。中邑は起死回生の飛びつき三角絞めを狙うが不発。さらに重爆攻撃を受けて虫の息となった。誰もが高山の勝利を確信すると、ニーリフトからエベレストジャーマン。その瞬間、奇跡は起こった。マットに叩きつけられた中邑はスルリと体位を変え、ワキ固めで高山の左腕をロック。バランスを取りチキンウイングアームロックに移行し、首に足をからめて腕をひねり上げて固定。完全にロックした。難攻不落の高山はついにギブアップ。デビューからわずか1年4か月、23歳の若武者が昨年末の天山に続き、高山をも完全撃破。IWGP初防衛と同時にNWF王座も獲得という偉業を達成した」(抜粋)

 中邑は試合前からの公約通り、NWF王座を封印。翌5日には新日本側も承諾した。すべてはIWGP王座こそが新日本の象徴であるという信念に基づいた行動だった。歴史は繰り返すというが、今回の辻のIC封印にも相通じる部分がある。辻は「IWGPヘビーは新日本の最高の選手を決める戦いとしてコンセプトを守っていきたい」と語っている。中邑がそうであったように、新たな時代の旗手として猪木が創設した王座の価値を高めてほしい。 (敬称略)