リーグ連覇と日本一奪回を支えた2025年のソフトバンク、投手陣も大きな役割を果たした。一方で先発、救援ともに26年へ向けた課題が見えてきたのも事実だ。ホークスOBで本紙評論家の加藤伸一氏は25年の投手陣の戦いぶりを振り返りながら、26年の戦いを左右するポイントを指摘する。後編は投手陣を中心に、常勝を続けるために欠かせない視点に迫る。

【インハイアウトロー・加藤伸一】投手陣に関しては、25年も全体としてはよく踏ん張ったと思っている。ただ、細かく見ていくと決して余裕のある台所事情ではなかった。先発も救援も、常にやりくりしながら戦っていたのが実情だ。

 25年の投手陣を支えた柱として、象徴的な存在だったのがモイネロだ。入団9年目にしてパ・リーグ初MVPを獲得し、24試合に先発して12勝3敗、防御率1・46。数字だけを見れば申し分ないし、26年から日本人選手枠になることもチームにとっては大きい。ただ、これだけの成績を残したからといって26年も同じように計算できるかと言われれば、そこは別問題だと思っている。

 モイネロは24年から先発に本格転向したが、それ以前は長くリリーフとして一軍で投げ続けてきた投手だ。役割が変わり、登板間隔や1試合あたりの負荷も大きく変化した中で、25年もフルに近い形で先発を任された。長年、一軍で投げ続けてきた蓄積を考えれば、26年に〝勤続疲労〟がどう影響してくるかは、注意して見ておく必要がある。

 25年は有原が14勝を挙げ、2年連続で最多勝をマークした。毎週のように計算できる投手がいるかどうかで、チーム全体の設計はまったく違ってくる。先発陣に精神的な余裕をもたらしていたのは間違いない。

 ただ、先発陣全体を見渡すと、一部の投手を除けば、1年間ローテーションを守り切った実績を持っているとは言い切れない。大関をはじめ、上沢、大津、松本晴、前田悠、前田純ら力のある投手はそろっているが、誰もがフルシーズン回れる前提で組めるほど簡単ではない。軸になり得る投手はいるものの、開幕からローテーションを固め切れる状況ではなく、状態や結果を見極めながら、入れ替えを前提に回していく形になる。

 その中で、24年に9勝4敗、防御率1点台を記録したスチュワートが26年にどこまで完全復活できるかが大きなポイントになる。やってもらわなければ困る存在だ。台湾から新戦力として徐若熙(シュー・ルオシー)も加わるが、日本のプロ野球に適応するには時間がかかる可能性もある。最初から柱として計算するのではなく、フィットしてくれば上積みと考えるくらいが現実的だろう。

 中継ぎ陣は、25年は藤井―松本裕―杉山を中心に勝ちパターンが機能した。ただ、鉄壁に見えた形が26年も同じようにいくとは限らない。中継ぎは消耗の激しいポジションで、前年と同じ数字を求める方が酷だと思っている。現役ドラフトでロッテから変則左腕の中村稔が加入したとはいえ、左の中継ぎという点では、まだ層が厚いとは言い切れない。外国人投手を含め、もう一段の補強があってもいいという印象はある。

 25年は新庄監督率いる日本ハムがリーグ2位に入り、対戦成績も拮抗した。勢いのあるチームで、26年も簡単な相手ではない。ただ、投手層の厚みや選択肢の多さ、修正力を含めて総合的に見れば、ソフトバンクの優位が大きく揺らぐとは考えていない。

 投手陣に求められるのは、誰か一人が引っ張る形ではなく、状況に応じて役割を入れ替えながら戦い続けられる柔軟さだ。1年間、想定通りに回る投手陣など存在しない。その現実を受け入れた上で、先発、救援を問わず、次の選択肢を常に用意できるかどうか。そこに、26年のホークス投手陣の真価が問われる。

(本紙評論家)