4日に投開票が行われた自民党総裁選で高市早苗前経済安保相が小泉進次郎農水相優勢の下馬評を覆して、逆転勝利した。自民党初の女性総裁誕生の要因は〝参政党現象〟と麻生太郎最高顧問の采配だった。

 総裁選では序盤から多くの議員の支持を集めた小泉氏が追走する高市氏を大きく引き離し、勝負あったとみられた。さらに高市氏が初見発表で、地元の奈良公園で外国人観光客がシカを傷つけていると指摘。これに一部の大手紙やテレビ局は「外国人と決めつける根拠がない」「虐待はない」などと批判し、高市バッシングに発展していた。

 しかしこのシカ問題では、奈良市議で元迷惑系ユーチューバーのへずまりゅう氏をはじめ複数の配信者によってシカが観光客に暴行される様子が報告されていたほか、県警がDJポリスを出動させ、英語と中国語で注意喚起している事実があり、高市陣営は反発。ネット上でも高市氏を追い落とすためのオールドメディアの偏向報道だとして、盛り上がる事態となった。

「参院選で『日本人ファースト』を掲げた参政党が大手メディアからネガティブキャンペーンを張られたことで、逆に全国に根を張っていた支持者が結束し、躍進につながったのと同じ現象といえる。高市氏は昨年の総裁選後から全国をくまなく回って、地方の声を聞いていた。1回目の投票で高市氏が圧倒的に党員、党友票を獲得したことで、決選投票を前に国会議員も永田町と民意の乖離に気づき、高市氏に流れた」(党関係者)

 高市氏が党員、党友票で大きく小泉氏との差をつけるとの事前情報をつかんだ麻生氏の動きも大きく影響した。前夜から決選投票の際には「党員票が多い方に」と高市氏への投票を呼びかけたうえに、1回目の投票で敗れた茂木陣営を取り込み、小林、林陣営も切り崩して、劣勢とみられた議員票を大きく上積みし、小泉氏を引き離した。

「麻生氏からすれば天敵の古賀誠元幹事長がバックにつく林氏を蹴落とし、小泉氏の後見人である菅義偉元首相をぬか喜びさせただけでなく、高市氏に大きな貸しをつくって再びキングメーカーに返り咲いた完勝劇。党役員、閣僚人事は麻生氏の影響力が色濃いものとなるでしょう」(同)

 早速、幹事長に麻生氏の義弟となる麻生派の鈴木俊一総務会長の起用が固まり、茂木氏の推薦人を務めた旧茂木派の木原稔氏が官房長官に起用される見通しとなった。麻生氏が副総裁という話も出ている。女性初の首相就任が濃厚となった高市氏はキングメーカーの庇護下で、難局を迎えることになる。