自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)に茂木敏充前幹事長が10日、先陣を切って、出馬を表明した。ポスト石破には高市早苗前経済安保相や小泉進次郎農水相が有力視されているが、ウイークポイントも多い。要職を歴任し、トランプ大統領とも渡り合った茂木氏の手腕に期待が集まっており、ダークホースに浮上してきた。

 茂木氏は昨年の総裁選にも出馬していたが、1回目の投票で9人中6位の結果に終わっていた。今回の出馬は無理筋との見方も出ているが、陣営は十分にチャンスありとみている。「前回はポスト岸田の総裁選で、茂木氏は幹事長で政権、党を支えていた側。すぐに手を上げるわけにはいかずに出遅れた感は否めない」(党関係者)

 この1年は閣内には入らずに党のGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行本部長を務めていたが、自民党は衆院選、参院選で過半数割れとなった。

 茂木氏は「結党以来、最大の危機で、会社でいえば倒産寸前。今、自分が果たすべき責任は何か。民間企業、党や政府でさまざまな経験をさせていただいた私のすべてをこの国にささげる。日本経済を必ず再生の軌道に戻す」と訴え、今回は満を持しての一番乗りで意気込みを示した。

 茂木氏は安倍政権の経済再生相時に日米貿易交渉でトランプ政権と対峙し、〝タフ・ネゴシエーター〟と評された。東大、ハーバード大で学んだ博学ぶりをYouTubeやTikTokで披露し、話題になった。党では幹事長、政調会長、選対委員長を務め、閣僚では外相、経産相、経済再生相、行革相など要職を歴任して経験豊富なことや対外交渉に長けているのが強みだ。

 ほかに総裁選に出馬が取りざたされているのは高市氏、小泉氏、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保相の4人。小泉氏は環境相と農水相だけで、党四役の選対委員長を衆院選前にかじっただけ。小林氏も経済安保相だけで、党4役の経験はない。

「高市氏は総務相、政調会長を長く務め、林氏は官房長官、外相、農水相、文科相などを歴任しているが、ともに社交的ではなく、対人関係で難がある。今後の野党との連携面で不安を指摘されています」(前出の党関係者)

 茂木氏は会見で経験不足の小泉氏や小林氏の名前を挙げ、「次代を担うリーダー候補がたくさんいる。こうした若手を積極的に登用し当選回数を基準とした人事から決別し、実行力や専門性を最大に生かせる適材適所を実現する」と重要ポジションでの起用を明言し、育成したい考えだ。

 他党との連携交渉でも国民民主党の玉木雄一郎代表や日本維新の会の藤田文武共同代表とは幹事長時代に議論してきたことを強調し、「これまでの自分の経験、ネットワークを生かしながら連立の枠組みはどういう形ができるかを模索していきたい」と円滑な国会運営にも自信をのぞかせた。

 前回の総裁選で茂木氏陣営は、「意外と敏充」と茂木氏の料理上手やガーデニング好きなど意外な一面を紹介し、堅物イメージからの脱却キャンペーンを展開した。仕掛け人の一人である鈴木貴子衆院議員は「『意外と敏充』は三段活用なんです。今回は『今こそ敏充』、そして『やっぱり敏充』にもっていきます」とキッパリ。

 小泉氏や高市氏に比べれば、知名度がウイークポイントになるが、重厚な経験と実績を打ち出し、スポットライトを浴びれば、一気に〝2強〟の間に割って入る可能性もありそうだ。