球団史上初めてヘッドコーチを置かない形で発足した藤川阪神において、事実上のナンバー2として指揮官を補佐したのが藤本敦士総合コーチ(47)だ。猛虎が圧倒的な強さでセを制した要因を「キャンプから掲げてきた危機管理が実り、大きなケガにつながらなかったこと」と分析した。
側頭部に打球が直撃した石井のような不慮のアクシデントこそあったが、それ以外の主力で故障離脱者はほぼ皆無。「選手の自己管理がとても成長した。練習時間の何時間も前に球場に来て、体の準備をする選手が増えた。そんな先輩選手の背中を見ながら若い選手たちも準備の仕方を覚えてくれている」とナインたちの努力をたたえた。
藤本コーチは2018年オフの矢野体制発足時から一軍に配置転換。当時は大山、坂本、梅野、岩崎らがまだ若手で近本、中野、森下、佐藤輝ら現在の主力は入団もしていない世代交代の過渡期にあった。
あれから7年が経過し、若虎たちは後輩たちに範を示す理想的な中堅、ベテラン選手に成長を遂げた。「熟した選手たちが今、すごく活躍してくれている。スタメンで出ている選手たちがいい見本になってくれていますね」と本格的な黄金時代の到来に藤本コーチも目を細める。
選手たちに前時代的なオーバーワークを課すことを強く戒め、コンディション管理に腐心する藤川監督だが、グラウンド上で満足いかない姿しか見せられなかった若手たちには厳しい言葉を投げかけることもしばしばだった。「緩いだけじゃダメ。今の時代は接し方が難しいけど、とにかく選手が気持ちよくプレーするために何が必要なのかを考えた」。虎の番頭格もチームづくりに頭を悩ませてきたという。
藤本コーチは00年のドラフト会議で野村政権時の阪神に7位入団。以降、星野→岡田と一癖も二癖もある名将たちの下で泥にまみれながら選手として鍛えられてきた。「野村監督、星野監督、岡田監督、藤川監督。一番おっかないと思う人は誰ですか?」と問われると「おっかないのはやっぱり星野監督でしょ。そこは譲れない」と即答し相好を崩した。












