大詰めを迎えた参院選(20日投開票)はスポーツ界出身の候補者も多い。畑違いの世界に序盤戦では戸惑いの声も聞こえたが、そこは大舞台や修羅場をくぐり抜けてきたアスリートたちだけに弱音は吐かない。終盤戦にかけての難局にも底力を発揮するのか――。
東京都選挙区(改選数6+補選1)に自民党から立候補したソウル五輪競泳金メダリストの鈴木大地氏は、公示後の各情勢調査では大きくリードし、五輪で見せたバサロ泳法さながらに華麗なスタートダッシュを決め、圧勝とみられていた。ところが、折り返しから参政党のさや氏に猛チャージをかけられ、最終盤を前についにはトップの座を明け渡してしまった。
16日、JR三鷹駅前でマイクを握った鈴木氏は「自民党はゆらゆらしている。全国比例の皆さんとこの間、お会いしたが、ある候補者は『自民党をぶっ壊す』と言っています。私は『自民党しっかりしろ』ということを申し上げたい。高校の時から日の丸をつけて、日本を代表して、世界と戦ってきた。10年前に国家公務員(スポーツ庁長官)になり、いつの時代も日本のために働く、尽くせる。これは大変な名誉のこと。国政に押し上げてください」と訴えた。
陣営からは「年齢が高い人への知名度は高いが、若い層にはソウル五輪といっても届かない」と混戦模様の展開にハチマキを締め直す。SNSでは同じく自民党から新潟選挙区に立候補しているシドニー五輪競泳銀メダリストの中村真衣氏からのエール動画を投稿し、スポーツマンらしい交流で、浸透を図ると同時に集会での支持者固めに加え、街頭でのドブ板を徹底し、表彰台真ん中の奪い返しに懸命だ。
同じオリンピアンでも〝静〟の選挙戦を展開しているのは比例代表に自民党から立候補している橋本聖子氏だ。事前に演説日程などは公表せずにインスタで全国を飛び回っている様子を投稿している。自身の裏金問題から苦戦必至とみられていたが、情勢調査では当選圏に追い上げており、当選5回かつ冬と夏合わせて7回も五輪出場という底力を見せている。選挙前には日本オリンピック委員会(JOC)の会長に女性として初就任し、スポーツ界を驚かせた。会長就任早々に参院選で落選する恥はかけないとあって、結果が注目される。
暗雲が漂っているのは元格闘家の須藤元気氏だ。国民民主党から比例代表での立候補で、反ワクチンからの変心や既成政党入りに一部の支持者離れを呼んでしまった。国民の比例での議席予想は6前後と予想され、須藤氏は当落線上の崖っぷちで、エンタメ外交や有機農業の推進など、本来のらしさをアピールし、信頼回復に努めている。
K―1元王者で、現役RIZINファイターの久保優太氏は日本維新の会から比例代表で立候補した。街頭では若者を中心にサインや撮影を求められる人気ぶりだが、党勢が失速気味で、議席は前回の8から3前後へと減少する見込み。狭き門で、相当な票が必要となってくる。
RIZIN・榊原信行CEOとのYouTubeコラボでは、「『今の日本を変えていかないといけない』と久保が現役で、チャレンジする行動力に敬意を表する。ルールを無視してでも自分の思いで走る政治家がいないと、硬直化した日本の政治のあり方は変わらない」とハッパをかけられ、最終ラウンドでの逆転KOへ気合を入れ直した。
同じ維新から愛知選挙区(定数4)には、プロレスラーの「シン・広田さくら」こと広田さくら氏が立候補している。広田氏の演説巧者ぶりや活動の熱量には応援に入った維新の幹部たちも舌を巻くほどだ。リングでは長くコミカルキャラで人気を博してきただけに聴衆へのつかみも慣れたものだが、出馬表明が直前で出遅れたこともあり、追い上げに必死だ。
参院選で台風の目となっている参政党にはラグビー元日本代表の後藤翔太氏が比例代表で立候補した。早大、神戸製鋼でキャプテンを務め、日本一になってきただけに街頭では「日本は誇りを取り戻さないといけない。未来に向けて、結束しないといけない。今回は歴史的な大転換期を迎えることができる」と国民の団結力を訴える。
さらにラグビー日本代表がW杯で強豪国に勝利する奇跡を起こしてきたことを挙げ、「日本代表は何倍も強い相手に打ち勝ってきた。ラグビーの誇りをかけて、その思いを背負って私も戦う覚悟」と政治にかける熱い思いを吐露。ラグビー日本代表から国会議員が誕生したことはなく、歴史的な〝初トライ〟を決めることができるかどうか――。












