獣神サンダー・ライガーが気になる話題やプロレス観を語る「獣神激論」。今回は新日本プロレス入団を発表した柔道男子100キロ級で2021年東京五輪金メダルのウルフ・アロンを徹底解剖する。日本人アスリートの金メダリストがプロレスに転向するのは史上初。来年1月4日東京ドーム大会でのデビューも決定した超大物を、ライガーはどう見ているのか――。
【ライガーが語る獣神激論(45)】ウルフ・アロン選手の入団は大きなニュースになりました。いやあ、まさに猪木イズムですね。これぞ新日本プロレスという記者会見だった。
アントニオ猪木さんが生前言っていたのは、プロレスファンは黙っていても見に来る、肝心なのはそれ以外の人に足を運ばせることなんだと。環状8号線の理論ですよね。外側の人間を取り込むためにいかに話題を提供するかが大事。それで言えばウルフ選手の会見にはあれだけの報道陣が集まって、テレビで速報もされた。そりゃあ知名度が抜群だもんね。みんな驚いたと思う。
ウルフ選手は転向の理由を単刀直入に「プロレスが好きだから」と答えていた。これは最高の記者会見だよ。100点満点。柔道をやり尽くしたから、好きだったプロレスをゼロからやりたい。気持ちのいいコメントだよね。柔道の五輪王者でポテンシャルで言えば間違いなく世界に通用する人材が「好きだから」という理由でプロレスを学んで、ちょっとキャリアを積めばとんでもない選手になると思う。好きこそものの上手なれだよ。
僕は会見を見てすぐにボルチン・オレッグとのシングル見たいなって思った。ボルチンがデビューした時も「3年以内にシングル王者になるよ」って言ったんだけど、実際にそうなったじゃん。そういうものを持ってるんだよ、彼らは。もちろん柔道とレスリングは違うけど、ウルフ選手はボルチンよりもポテンシャルは同等かそれ以上かもしれない。下手すりゃ3年後にはこの2人で東京ドームのメインやってるかもよ。そういう選手だから、そりゃあ世間の目は向いてくるよね。
ウルフ選手のデビューする来年1月4日の東京ドーム大会では、棚橋弘至選手が引退する。やっぱり時代は回るんですよ。一人の英雄が去って行ったら、一人の英雄がまた生まれるんです。これが時代を紡ぐということなんだと思うよ。まだあと半年あるし、デビュー戦の相手は誰が来ても大丈夫なんじゃない? 個人的に見たいのはやっぱりボルチンだね。体のあるものがぶつかり合う、プロレスの醍醐味を体現するような試合になると思う。
日本人金メダリストのプロレス転向は初めて。過去に柔道出身の名レスラーはたくさんいるけど、坂口征二さんたちを超える存在になってほしいし楽しみだよね。ただ僕は個人的には、ウルフ選手にはブルーザー・ブロディやスタン・ハンセンみたいなタイプになってほしいと思ってる。小手先じゃなく体でガンガンぶつかっていくようなタイプ。〝令和の超獣〟で行こう。
僕みたいにいろいろ想像したり期待する人間は多いだろうけど、ウルフ選手本人は会見で「ゼロからのスタート」「土台を作りたい」と強調していた。やっぱりメダルを取った人間の言葉だよ。基礎の大事さが身に染みてるんだろうし、心配することは何もないね。
オカダ・カズチカ選手や内藤哲也選手が退団して、棚橋選手も引退を控えている中で、新しい希望の光が生まれた。金メダリストが「好きだから」って言って来てくれるんだから、こんなに背中を押される言葉はないよ。プロレス界と言わず、日本のスポーツ界にとって明るいニュースだったと思うよ。












