イランの最高指導者ハメネイ師は26日、1週間以上の沈黙を破り、テレビ演説で自国がイスラエルに勝利し、米国に「平手打ち」を食らわせたと主張した。撮影場所、時期は不明だ。Xにも同じ内容のメッセージを投稿した。停戦合意後、メッセージを出したのは初めてだが、停戦合意については触れていない。

 ハメネイ師は「シオニスト政権(イスラエル)に勝利したことを祝福する」と主張した。また、「イスラム共和国はここでも勝利を収め、アメリカに強烈な打撃を与えました。アメリカ政権に対する勝利を収めた我らが愛するイランに、改めて祝意を表します」と述べた。

 イスラエルがイランを空爆したのは13日未明。トランプ大統領が23日発表した停戦合意では、それぞれが順次、戦闘を停止し、25日に戦闘が終結したことになる。

 しかし、1989年以来、イランのすべての主要な国家問題に関する最終決定権を持つハメネイ師は18日のテレビ演説以降、メッセージを出していなかった。

 その間、イスラエルと米国がイランの核施設を攻撃し、これにイランがカタールの米軍基地にミサイルを発射して報復。その後にイランとイスラエルの停戦合意が発効している。

 トランプ氏が提案し、カタール首長が仲介した停戦合意は、迅速に署名されたように見えた。しかし、軍の高官や政府関係者は、ここ数日、ハメネイ師と会談したか、あるいは話をしたかという質問を避けている。停戦合意はハメネイ師による決定なのか?

 先日のイラン国営テレビの放送の中で、司会者はハメネイ師の事務所の長であるメフディ・ファザエリ氏に対し、多くのイラン国民が疑問に思っていることとして「人々は最高指導者のことを非常に心配しています」と尋ねた。しかし、ファザエリ氏は「最高指導者を守る責任のある人々は職務をきちんと果たしている」として、明確な回答を示さなかった。その代わりに「政府関係者でさえハメネイ師の容体について問い合わせている」と述べた。

 複数のメディアによると、ハメネイ師は暗殺を防ぐために秘密の地下壕に避難し、すべての電子通信を控えていると考えられているという。イスラエルはあらゆる通信から人物の位置を特定する可能性があるからだ。幹部の移動で居場所を特定されないよう、接触も断っていたと考えられる。

 25日、アラブ首長国連邦から取材に応じたCNNのエリン・バーネット記者は、イラン外相が「停戦期間中、合意に至るかどうかについて同国の最高指導者と連絡を取ることができなかった」と情報筋から聞いたと伝えた。そして「本当に信じられない。36年間も実権を握ってきた男が、今まさに最も重要な瞬間、おそらくこの数年間で最も重要な瞬間の一つに立っているのに、彼の姿はどこにも見当たらない」と続けた。

 電子通信を遮断していたとすると、リアルタイムに情報を得ていないと思われる。今回のメッセージは、停戦合意に触れていないだけに事前収録もありえる。もしハメネイ師が停戦合意の決定に関わっていないとしたら、今後反故にされる可能性も否定できない。