「台湾の逸材」を巡る駆け引きが熱を帯びそうだ。台湾プロ野球(CPBL)・味全ドラゴンズの徐若熙投手(24)は、今オフの海外挑戦が見込まれる世界的プロスペクト。最速158キロを誇る右腕は、今季から日本ハムに加入した古林睿煬投手(24)をしのぐ逸材とも評され、日米争奪戦に発展する様相だ。

 今季ここまで5試合に先発して防御率0・59。ドジャース、カブス、メッツなどメジャーの強豪球団が密着マークを続けている。徐若熙は2019年ドラフト1位(全体6位)で味全ドラゴンズに入団。1年目に右ヒジを痛め、3年目にも右ヒジ靱帯再建術を受けて苦しんだが、復帰後はCPBLを席巻し、昨季の台湾シリーズではMVPを獲得した。

「台湾の佐々木朗希」と評される158キロ右腕・徐若熙(ゲッティ=共同)
「台湾の佐々木朗希」と評される158キロ右腕・徐若熙(ゲッティ=共同)

 今季中に海外移籍資格を取得予定で、シーズン終了後のポスティング申請が確実視されている。「台湾の佐々木朗希(投手=23・ドジャース)」と称される24歳右腕はメジャーに挑戦する場合、MLBの規定で契約金の上限が設けられるマイナー契約しか結べない。5月に入り、10球団前後のMLB球団がスカウトを現地に随時派遣。米国内、中南米の有望選手が枯渇している近年の事情も相まって、徐若熙への投資熱が高まっている。

 メジャーか、それとも日本か――。5月18日、雨天中止となった登板試合をNPB複数球団が現地視察。ソフトバンクは日本から複数のスカウトを派遣した。24年1月からOBの李杜軒氏が台湾担当スカウトに就任。かねて世界的プロスペクトの争奪戦に本格参戦してきた球団は台湾市場の開拓を数年前から計画し、既存選手との兼ね合いやチーム編成などを考慮した上で獲得リストを固めてきた。ソフトバンクは今後も幹部クラスが渡台する予定で、熱視線を送り続けることで「誠意」を伝える方針とみられる。

 メジャースカウトの間で「CPBLから初めて直接メジャーに渡るパイオニアとしての挑戦価値に心が動いている」という声もある。その一方で、台湾球界内では「徐若熙はまだ明確な意思を表明していない。出場機会を求めるのならば日本。NPBを経由してメジャーを目指す現実的な選択が考えられる」という見方も根強い。ソフトバンク以外にもすでにセ・パの複数球団が注視している逸材。情報戦を含め、徐若熙の動向に注目が集まっている。