森保ジャパン人気の救世主となる〝大谷翔平級スター〟は出現するのか――。日本代表は25日、北中米W杯アジア最終予選サウジアラビア戦(埼玉)で0―0と引き分けた。20日のバーレーン戦に勝利してW杯出場を決め、目標とする優勝に向けて新たにスタートを切った中で、最大の課題が人気面。森保一監督(56)も国民的な盛り上がりの醸成へ、異例の呼びかけを行ったばかりだ。カギとなる国民的スターは本大会までに出現するのか、元日本代表FW武田修宏氏(57=本紙評論家)が占った。

 W杯を決めた直後の一戦は、前半のチャンスを決め切れず、5バック気味に引いて勝ち点1を取りにきたサウジアラビアからゴールを奪えなかった。森保監督は「選手が勝つことにチャレンジしたので、ゴールを奪って勝ちたかった。圧力を持って得点を奪うというところでは、成長しないといけない」と悔しさをにじませた。

 W杯優勝という目標へ向けた新たな第一歩は不完全燃焼に終わった。だが森保監督をはじめ、主将のMF遠藤航(リバプール)や10番を背負うMF堂安律(フライブルク)らイレブンに迷いはない。遠藤は「大事なのは目標に向かって続けていくこと」と前を向いた。そのためには、選手個々のレベルアップ、チームとして成熟度を極限まで高めていかなければならない。

 実力では強豪国に迫る日本だが、大きな差があるのが国内での人気だ。野球など他のスポーツや、多様なエンタメなど日本では興味の対象が分散しており、サッカーが盛り上がるのはW杯の開催時だけというのがこれまでのパターン。だが、優勝という快挙のためには、日常からサッカー伝統国のような国民的な盛り上がりが求められる。

 そこで森保監督は、W杯決定の翌日(21日)の会見で「過去の優勝国を見ると、国中の関心事にならないと、優勝はできないと感じている」と異例の呼びかけを行った。

 国民の関心を幅広く集めるための起爆剤となりうるのが、野球界の大谷翔平投手(ドジャース)クラスのスーパースターだろう。

 現在の森保ジャパンで近づく可能性があるのが、MF久保建英(23=レアル・ソシエダード)とMF三笘薫(27=ブライトン)のダブルエース。だが、武田氏は「現代サッカーはスターが出にくい。なぜかというと、90分間ハードワークができて強度が高いプレーが求められるし、昔と違って個人というよりグループ戦術の比重が上がっている。そこは良い面と悪い面があって、裏の部分でいうと選手の個性がなくなってきて、スーパースターが生まれにくくなっている」と、近年のサッカー界では突出したスターが生まれにくい環境を指摘する。

 久保や三笘がゴールやアシストで突出した数字を残せば状況も変わりそうだが、そこにも現代サッカーの〝壁〟が存在するという。武田氏は「今は技術とかそういうことよりも、まずは90分走れてハードワークできることがベース。その上で、三笘みたいにドリブル突破ができる、久保のようにフィニッシュまで持ち込めるというところを発揮しないといけない。あくまで個というよりチームが中心だから〝数字〟を増やすのは難しくなるよね」と分析。かつてのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)のように、とんでもないゴール数でインパクトを残すことは難しいのが実情だ。

 国民的なスーパースターの出現は望み薄かもしれないが、チーム一丸でフィーバーを巻き起こして悲願の世界一に迫りたいところだ。