舞台裏では、懸命にファイティングポーズをとり続けたスーパースターの姿があった。

 体調不良のためMLB日本開幕シリーズ出場を見送ったドジャースのムーキー・ベッツ内野手(32)が、チーム本隊より一足先に17日に帰国。デーブ・ロバーツ監督(52)はカブスとの開幕戦(東京ドーム)が行われた18日、深刻な状態ではないとの認識を示した上で「われわれはウイルス性のものではないかと考えている」と明かした。

 来日前から体調を崩していたスーパースターは一時、7キロ近く体重が激減、脱水症状やふらつき、疲労回復の遅れを実感するなど人知れず苦しんでいた。それでも15日、16日のプレシーズンゲームでは試合前練習に一部参加。自らの状態をチェックし、開幕戦でチームの戦力になれるかを冷静に見極めていた。

 野球人にとって開幕戦は特別だ。首脳陣は「最初の布陣」に戦い方の方向性、選手一人ひとりの役割を示す。たかが1試合、されど1試合。タイムリミットぎりぎりまで戦う姿勢を崩さなかった。明らかに不完全な状態だったが、チームの精神的支柱として戦場に立つ姿で仲間を鼓舞する狙いがあったとみられる。

 来日中は自らを奮い立たせてグラウンドに立っていた。チーム練習に2日連続で参加した16日の練習後、ベッツは周囲にこう漏らしていた。「回復しているように見えるかもしれないけど、回復は見た目だけなんだ…」。多くのファンも見守るグラウンドで決して弱みを見せなかった男は、ロッカーに戻ると静かに〝鎧(よろい)〟を脱いだ。

 諦めたのではなく、思いを仲間に託した。開幕ショートの代役を務めたロハスをはじめ、バックアップに回る選手の質も高いドジャース。今季の最大目標であるワールドシリーズ連覇へ、冷静な判断で本拠地開幕戦(現地時間27日・タイガース戦)に照準を合わせた。

 チームが日本でのプレシーズンゲーム初戦を戦った15日。球場入りしたドジャースのメンバーが三塁側ブルペンの入り口前で行列をつくっていた。ベテランのロハスを先頭に大谷、佐々木、グラスノー、カーショー…。ベッツの号令で行われた選手だけのミーティングだった。日本でファンが待ち望んでいたプレーは見せられなかったが、舞台裏では随所にリーダーの資質を見せていた。

 帰国後、自身のインスタグラムで「またすぐに戻ってくるよ」と所信表明したベッツ。3月下旬からの160試合で生きざまを見せるはずだ。