練習はウソをつかない。最終クールを迎えているソフトバンク宮崎春季キャンプ。27日は韓国・斗山との練習試合(アイビー)が組まれ、終盤に打線が奮起して9―0の快勝を収めた。
試合後、村上打撃コーチが「頑張っているし、チャンスを与えたくなる選手の一人」と目を細める若鷹がいた。この日「5番・一塁」で先発出場し、長打を含む2安打とアピールした石塚綜一郎捕手(23)。退いた直後に打線が爆発したこともあり「埋もれましたね」と笑った23歳だが、開幕一軍生き残りへ日頃の練習姿勢と合わせ、きっちり結果で存在感を見せた一日だった。
2019年ドラフト育成1位で入団。育成選手としては区切りとなる5年目だった昨年7月末に支配下登録を勝ち取った苦労人だ。今季は打力を生かして道を切り開くシーズン。早朝練習は皆勤で、宿舎に戻るチームバスでは最終便がお決まりの努力家は「結果がすべての世界。練習はウソをつかないことを示さないといけないし、なにより自分自身に示したい」と開幕一軍を目指して毎打席、執念を燃やしている。チーム関係者が「報われてほしい」と口をそろえる希少な存在。この春も実に石塚らしい逸話があった。
球団は主に故障予防を目的に、ファームで「デジタルブラジャー」を導入している。大谷翔平(ドジャース)やサッカーの各国代表チームが採用していることで有名だが、GPSデバイスが取り付けられており、走行距離やスイング数などが検出可能。この装具を本来は対象外であるはずの石塚がキャンプ中、常に装着している。なぜか――。チーム関係者は「二軍の首脳陣から『一番練習する選手はどれくらいの数値なのか知りたい』と、名指しで石塚に要請があった」と、その理由を明かす。身体的強度に個人差はあれど、やる人間がどれだけ練習するのか。強い選手でなければ「上」では通用しない。首脳陣の要望は純粋な思いからだった。
ユニホームの下にデジタルブラジャーを装着し、名誉な要請に応え続けた石塚。この春、思う存分バットを振り続けた男は、いろんな思いを背負って競争に挑んでいる。












