広島の宮崎・日南キャンプで開幕投手の行方が注目されている。

 昨季の開幕投手だった九里はオリックスにFA移籍。今年は大瀬良や床田、森下らの争いが予想される中、指揮官就任3年目の新井貴浩監督(48)は11年目の塹江敦哉投手(27)を指名している。

 ただ、塹江は昨季登板した全53試合が救援で「中継ぎ」を主戦場とする左のスペシャリストだ。それでも指揮官は「だから塹江って言っているじゃん。本人にも伝えたし、本人もその気になっている」と真顔で現状の最右翼としている。

 本気なのか、カムフラージュなのか…。〝ネタ〟にしてはかなり引っ張っている感はあるが、本人はどう捉えているのか。塹江を直撃すると、最終的に予定が覆ることを自覚した上で「もう、ありがたいしかない」と感謝を口にする。その理由として「チームに70人以上の選手がいる中、このクールだけで何回僕の名前が出たか…。それぐらい僕の名前を挙げてもらって。どれだけ僕のことを見てくれていたかを、僕も分かるわけですから」と明かした。

 選手冥利に尽きるだけでなく、この時期の〝ご指名〟は吉兆でもある。サイドスローに転向した昨年の同時期も、新井監督は事あるたびに塹江の名前を出し、イジり倒していた。そして登板数も防御率(1・58)などでキャリアハイを軒並み更新。契約更改で1900万円増の推定年俸4000万円でサインした際も「(成功への)いいストーリーをつくってもらった」と新井監督の〝定期イジり〟を感謝したほどだ。

 今や盤石の信頼関係で結ばれ、指揮官の愛情を独占する塹江も「しっかり僕をスケープゴートにしていただいて、〝他の開幕投手〟と言われる人に少しでも集中してもらえるように…」とフォア・ザ・チームの精神を発揮。まだまだ「開幕投手ネタ」を引っ張るつもりだ。