トンネルの出口は見えたのか。西武が渡辺久信監督代行(58)の〝新体制〟となって初勝利を飾った。29日の中日戦(バンテリン)に1―0で辛勝。6回に奪った1点を守り切って白星を手繰り寄せたが、これで万々歳というわけにもいかない。交流戦に入っても2試合18イニングでわずか1得点のみの深刻な得点力不足は相変わらずだ。このまま打線に改善の余地はないのか。一昨年まで西武の主軸を担ったオリックス・森友哉捕手(28)に外から見た「古巣打線」の印象を聞いた。
西武が全員一丸となって虎の子の1点を死守した。中盤まで両軍ゼロ行進が続く中、単打2本でチャンスメークした6回二死一、三塁から蛭間が三塁へのタイムリー内野安打を放ち、先制点をもぎ取った。その後は追加点を奪えなかったものの、先発・隅田が8回無失点と快投し、最後は守護神・アブレイユも得点を許さず踏ん張った。
西武指揮官として11年ぶりの白星を手にした渡辺監督代行は喜びをあらわにし、隅田については「よく抑えてくれた。球一つ一つ見たら本当にお金を稼げる球を持っている」と目を細めた。ただ、この日の1勝だけで光明が差し込んだと言い切れないのも、また事実だ。
26日のオリックス戦(ベルーナ)終了後に松井稼頭央監督(48)の休養が球団側から発表。代わって渡辺監督代行が交流戦から指揮を執る形になったとはいえ、いまだ今季の西武には悲惨な数字ばかりが並んでいる。
18日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)では逆転負けを喫し、球団史上最速で自力V消滅。Aクラス浮上の兆しすら見えない。大きな元凶となっているのは言うまでもなく、29日現在でチーム打率2割1分1厘、同119得点といずれも12球団最下位に沈む打線の深刻な低迷だ。かつては「山賊打線」と評され、他球団から「一度火がついたら誰にも止められない」とまで恐れられていた屈指の爆発力も今となっては見る影すらない。
そんな古巣の〝惨状〟をやや複雑な思いで見つめているのがルーキーイヤーの2014年から9年間、西武に在籍していた森だ。〝打てる捕手〟としてライオンズ打線をけん引し、19年には首位打者に輝くなど西武のリーグ連覇に大きく貢献。だが22年オフに国内FA権を行使し、悩み抜いた末にオリックスへ移籍した。昨季は新天地で攻守にわたって活躍し、打率2割9分1厘、18本塁打、64打点と打棒も爆発させ、期待通りの仕事ぶりでチームをリーグ3連覇へと導いている。
果たして自らが去った古巣打線の深刻な現状について森は、どのような本音を抱いているのか。直撃してみると「うーん…。難しいですね」と少し考え込みながら間を置き、次のように続けた。
「若い選手が多い中で(打線が)つながったらすごい脅威ですし、ベテランの中村(剛也内野手=40)さんが4番に座っているっていうので、そこでどっしりとしていますよね」
そして現在も古巣・西武には「いいバッター、能力の高い選手っていうのはたくさんいるので」とも指摘。何かの〝きっかけ〟さえつかめれば、救世主となるべきキーパーソンが人材豊富なチーム内から必ず現れるはずと踏んでいるようだ。生え抜きとして長きにわたってプレーした西武の奥深さを当然知り尽くしているだけに、その言葉には説得力がある。
しかしながら西武は今の森にとって、倒さなければならない「敵」だ。最後に「ただ(対戦する際に西武の)打線がつながらないように守備をするのは、みんな心がけて(いる)。対戦チームはやってることなんでね」と強い口調で補足することも忘れなかった。
西武としては打棒を上向きにさせ、かつてのチームメートの鼻を何とかへし折りたいところだ。












