低迷する西武の〝人事刷新〟は奏功するのか。成績不振で途中休養となった松井稼頭央監督(48)の代役として、28日の中日戦(バンテリン)から渡辺久信GM(58)が兼任監督代行として11年ぶりに現場復帰する。図らずもソフト路線が裏目に出て無計画性まで露呈してしまった前者に対し、後者は引き出しと経験が豊富。パ最下位に沈み大不振にあえぐ中、交流戦からリスタートを切るチームの行く末を占った。
事実上の「解任劇」に西武が大きく揺れ動いている。2017年に「監督候補」として楽天から引き戻され、兼任テクニカルコーチ、二軍監督、一軍ヘッドコーチと5年間の準備期間を経て松井監督は満を持す形で昨季から現職へ就任。しかし通算成績80勝107敗1分けと結果を出せず交流戦を前にした26日のオリックス戦(ベルーナ)終了直後、2年契約の半ばで休養が発表された。
その任命責任を負う意味でも渡辺監督代行は自らが矢面に立ち、難局を乗り切ろうと現場に戻った。当然ながら背景には日米通算2705安打の偉業を成し遂げた球団功労者の松井監督に対し、これ以上泥を塗るわけにはいかないという配慮もあったとみられる。
「巻き返せる試合数(98試合)がある。タフで厳しい戦いが始まると思うがプロ野球に身を置いてる以上、ファンが応援してくれる限り戦う。6月に入るが、本当のヤマは9月。それまでに借金を返す」(渡辺監督代行)
松井監督については多くの関係者や有識者が指摘しているように優しい人柄で全方位に気を配り過ぎるあまり、具体的なビジョンが見えづらかった感が否めない。その一方で渡辺監督代行は「9月までに借金返済」「現実的目標はAクラス」とタスクを明確にした。
交流戦から8月末までの約3か月、74試合をおよそ2勝1敗ペース、45勝29敗で突き進むとすれば60勝59敗の5割復帰が現実のものとなる。ここまで1点差の試合がリーグ最多の23試合で7勝16敗となっている戦績をどのように上向かせるか。攻撃陣の意識改革や外国人の復調、相手の配球やベンチワークを見ながら渡辺監督代行は代名詞でもある「ゴロゴー」など具体的な指示の徹底で反転させる意気込みだ。
常々「チーム状況が悪くなった時にそれを立て直すのが監督の仕事」と語っているだけに、経験と引き出しは豊富。最大の強みである投手力を生かしながら打てないなら、どうやって無安打でも点を取っていくかの準備と指示は今後植え付けられていくだろう。
また自らが「松井監督は私が引っ張ってきた。選手に寄り添ってくれていたし選手も慕っていたと思う。だが、勝負となると厳しさも必要」と指摘する通り、歯がゆい思いを抱き続けてきた課題の〝厳たる姿勢〟をいかに出していくのか。
周囲の関係者には「選手に寄り添うことはいいが厳しくやる時も当然ある」と宣言しているという。だが平成(08~13年)の指揮官就任時から時代が令和へと変わり〝親に叱られた経験がない〟若い選手らと、どう向き合ってチームを前進させていくのかは不透明だ。
19年のGM就任以降、チームの全人事や契約更改に関わり伝達力、コミュニケーション能力を昇華させた渡辺監督代行の手腕が西武浮沈の鍵を握っている。












