広島は25日のDeNA戦(横浜)を延長12回、5時間16分の熱戦の末、9―6で競り勝った。2試合連続で延長を制した新井貴浩監督(47)は「昨日といい今日といい、チーム全体の粘りが出てきているし、絶対勝つ、追いつき、追い越すというね。そういう気持ち、雰囲気はすごく伝わってきています」と話す表情は上気していた。

 試合は2―5と2回で3点を追う展開から、信条とする全員野球で、食らいついて勝ち取ったもの。二死からの得点で敵に2度追いつき、延長戦も制す底力を見せた。

 9―6とこの試合、初めてリードをして迎える12回の守備では、指揮官も〝覚悟〟を決めた一手を打っていた。延長11回の攻撃中、8番手の中継ぎ投手・黒原拓未(24)に打順に代打・田中広輔(34)を投入。この時点で残るベンチ入り投手は、2年目・河野佳投手(22)のみ。ベンチに「控え」の投手を残さず、守り抜くことを選択した。

 3点リードの展開だったとはいえ、投球中に予測不能のアクシデントが起き、投球続行が不可能になった場合は、野手にリリーフを任せるしかない状況。控え野手も会沢翼捕手(36)のみと、ほぼ全員を使い切って最終回の守りを迎えていた。

〝万が一〟の場合の「次の投手」には誰を想定していたのか。新井監督は「矢野かキク(菊池)に行ってもらおうと思っていました。(控え捕手の)アツ(会沢)が残っていたので。あとはガチャガチャして」。有事の際は控え捕手の会沢にマスクをかぶらせ、捕手以外で一塁手でも起用している坂倉を内野に加え、二塁手・菊池涼介(34)か遊撃手の矢野雅哉(25)を〝登板〟させることを念頭に置いたスクランブル体勢で、最後の守備を見守っていたという。

 結果的にはそんな〝危機〟に直面することなく、河野が打者4人、無失点で投げ切り、プロ初セーブも記録。文字通りのリリーフ投手総動員のラストを務めた右腕は「もう僕しかいなかったので。とにかくホッとしました」と最後の砦をつとめあげ、笑顔で野手陣とマウンドで勝利のハイタッチを交わしていた。