誰しもがスマホやタブレットで気軽に漫画を楽しんでいる昨今。若い世代が評価する漫画に触れて〝流行の分かる大人〟を目指すのはいかが? 今回は小学館の漫画編集者に「読んでいると一目置かれる漫画」を5作ピックアップしてもらったぞ。
『スーパースターを唄って。』(著・薄場圭/既刊2巻)
大阪を舞台に、劣悪な環境で生きる少年・雪人が、唯一の親友・メイジとともに音楽で自分の世界を変えていこうとする人間ドラマになっています。読者としては男性が多い印象で、音楽関係の方々や芸能人の方々からも好評をいただいています。その点に関しては、作者の薄場さんが小学生のころからレゲエやヒップホップに触れていて、ストリート文化を強くリスペクトされているということも大きいかもしれません。各話のサブタイトルには日本のヒップホップ黎明期を盛り上げた曲など、往年の名曲を引用しています。〝あの頃〟が好きな大人世代の方には刺さるのではないでしょうか。
雪人を含め登場人物たちが暮らす大阪は、薄場さんが上京されるまで過ごしていた場所でもあって。ロケハンも重ねていますし、作中の空気感や情景はすごくこだわって描かれています。東京の都市部ではあまり見ない“電線の張り巡らされた町並み”など、大阪出身の著者だからこそ描けるリアルな質感だと思います。
また、何より薄場さんにとっても連載デビュー作なので、この作品にしかない熱量もあると思っています。絶妙なバランスで成り立っているドロドロとしたエネルギーは、ぜひ実際に読んで体感してほしいです。そして主人公たちが、シビアな状況の中でかなり前を向こうとしていることにも注目してほしいですね。暗いニュースも多い時代ではありますが、この作品をきっかけに少しでも前向きに生きようと思っていただけたらうれしいです。(担当編集者・談)
『ひらやすみ』(著・真造圭伍/既刊6巻 最新7巻 4月11日発売)
アラサーのフリーター・ヒロトと、美大進学を機に上京したいとこ・なつみが、譲り受けた平屋で繰り広げる、ゆったりとした日常を描く作品です。ありがたいことに老若男女から支持されていまして、作品の舞台となる阿佐ヶ谷にある書店さんで、『ひらやすみ』を親子で買っている方がいたと教えてもらった時はちょっと感動しました。
作品の魅力として、まずはノスタルジーな雰囲気を挙げたいです。現代の物語ではありますが、ヒロトのゆるやかな日々は忙しく働いている大人にはどこか懐かしく見えるはず。スローライフには真造さんの「少し休んでもいいんじゃない?」「無理しなくても大丈夫だよ」というメッセージが込められているようにも感じます。
また真造さんが杉並区に長く住まれていたこともあって、阿佐ヶ谷への思い入れは並々ならぬものがあります。描きたい光景から話の構想を練られることもありますし、実在するシンボリックな建物たちや、穏やかな町の様子もぜひ楽しんでいただきたいです。実は1~5集までは、単行本ごとに季節が変わっていくというルールで連載されていますので、登場人物たちがゆるやかに成長・変化していく姿も味わってもらえたらうれしいです。
そして担当編集者としては、友情が今作のテーマだと感じていて…。特にヒロトとその親友・ヒデキはお互いがかけがえのない存在なんですよ。大人になっても友情を続けるためのヒントが詰まったエピソードは5集でじっくり描かれていますので、ぜひそこに注目して読んでいただきたいです。(担当編集者・談)
















