『青のオーケストラ』(著・阿久井真/既刊11巻)
一度は音楽から離れていた天才バイオリン奏者・青野ハジメが、同級生の少女・秋音律子との出会いから情熱を取り戻し、やがて入部したオーケストラ部で「皆で音楽を作る楽しさ」に気づいていくという物語です。
オーケストラというテーマもあって、音楽系の部活を経験した女性のファンの方は多い印象ですね。部活動に取り組む現役の学生の方からメッセージが届くこともとてもありがたく感じています。
実は作品で等身大の高校生を登場させるために、200人以上のオーケストラ部員にアンケートを行っているんです。リアルな声を基にして、部活への熱い気持ちをしっかり抽出するということは皆で意識していますね。親世代の読者の方からも、令和の部活動の実態や、時代に合わせて変化している指導方法は新鮮に映るかもしれません。
加えてバイオリンは手の角度一つで音が変わる楽器なので、阿久井さんの正確な画力があってこその作品だな、とも感じています。音の表現に関しても曲を聞いた率直な印象から自由に描いてもらっていますし、昨年アニメ化されたことで音のイメージがより固まったとも聞いていますので、今後の演奏シーンにもぜひ期待していただきたいです。
そして日々の努力や人間関係、部活動としての難しさ・楽しさが詰まった「本番までの期間」にも強くフォーカスされていることには触れておきたいですね。日常生活や四季の細やかな描写と合わせて、高校3年間の中で主人公たちがどのように成長していくのか、ドキュメンタリーのように見守っていただけたらと思います。(担当編集者・談)
『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』(著・浅山わかび/既刊8巻)
日本ではまだ知名度が高いとは言えない「法獣医学」という分野を扱う作品です。獣医師を目指す青年・当麻健匠を中心としながら、法律上はモノとして扱われてしまう動物たちの死を通じて、その生き様を描き出す物語となっています。
少年誌の連載作品である一方、幅広い層に向けた作品ではあると思っています。テーマ自体に重さを感じる方もいるかもしれませんが、ギャグやコメディーの要素も盛り込まれており、想像されるような読みにくさはないと思います。もちろん、生と死を扱う上で、読者が絶対に傷つくことがないような配慮を極力努めてます。そのためにもよりリアルな感情を描こうという話は浅山先生と何度も共有しています。
また編集者としては若い世代に向けた雑誌に、命を扱う作品が載っているということにも価値があると感じています。その上で大人世代からすればより考えさせられる展開や、胸に迫るエピソードもありますので、まずは1話からチェックしていただけると嬉しいです。
特に紹介したいのは動物が命を落とすまでを、動物自身の視点から回想するシーンです。言葉を持たない生き物たちの死にこれほど寄り添っている描写は、他の作品にはないと思っていますね。それぞれの〝最期〟には浅山先生が抱く動物への真摯な思いが表れていますし、取材先の野生動物を研究されている方からも好評をいただいています。動物の感情・記憶を読むという「ラストカルテ」ならではの読書体験を、多くの方に味わっていただきたいですね。
(担当編集者・談)
『日本三國』(著・松木いっか/既刊4巻)
未来の荒廃した日本を舞台にした、従来の作品とは一味違った「歴史戦記もの」の物語です。主人公・三角青輝が現代日本の知識を総動員して、知将たちと戦っていく所も大きな見どころになっています。
今はとにかく面白い漫画を欲している、いわゆる〝漫画読み〟の方に作品の魅力が届いている印象ですね。主な読者層としても30代男性が多いような気がしています。ただ登場人物にはおっさんがめちゃくちゃ多くて。「イケオジ」とも言える格好良い大人たちが主人公そっちのけで戦ったりもするので、より上の世代の読者でも感情移入しながら楽しく読めるとは思います。
作者の松木さんは、三国志はもちろんのこと古今東西の戦記がとにかく好きな方で。この作品自体も長大な構想が練られていて、20巻はゆうに超えるスケールで物語が動いています。正直4巻の時点ではまだ序章も序章という段階ですね。
読者の方には、一筋縄ではいかないキャラクターが高く評価されている印象です。例えば「ツネちゃんさん」(青輝の同期・阿佐馬芳経)は過去に類を見ないレベルでマザコンなキャラですけど、ものすごくファンを獲得していますし。たった1話で戦死する〝モブキャラ〟の将軍すらも強烈かつ鮮やかに散っていくので、今後も登場人物には注目してほしいですね。
先月末に始まった新章からは、成長した青輝や芳経が、いよいよ自分たちの手で戦や政治を動かすようになります。これからもっと大きくなる作品だと思っていますし、今から読めばまだ「古参ファン」を名乗れると思うので、これを機にぜひ手に取ってみてほしいです。(担当編集者・談)


















