阪神は31日の巨人戦(東京ドーム)に5―0で完勝。開幕からセ・リーグワーストを更新する「25イニング連続無得点」と春眠スヤスヤ状態だった虎打線だが、0―0の8回に森下の1号3ランで待望の先制点をゲット。ゲラ―岩崎の継投策も有効に機能し、東京の地に少し遅めの桜の花を咲かせた。3タテだけは何としてでも避けなければならなかった大切な一戦。実は指揮官・岡田彰布監督(66)の尊すぎる〝自己犠牲〟がチームを今季初勝利に導いた――。
重苦しいムードを一気になぎ払う快弾だった。スコアレスのまま迎えた8回二死一、三塁。打席に入った森下は相手左腕・中川の投じた初球145キロ変化球を思い切りよく一閃。虎党たちの切なる願いが詰まった白球は、左中間席最前列に何とか届いた。
この瞬間、ベンチ内の岡田監督も満面の笑みで両手を上げる〝グリコポーズ〟を思わず披露。「この3連戦では一番ええとこで打ったしな」。試合後は孝行息子へ惜しみなく賛辞を贈った。
〝代償〟は払った。渇望に耐えながら白星をもぎ取っていた。昨季まで岡田監督が愛用していた東京ドーム関係者入口付近の喫煙所が、無情にも「加熱式専用」に変更されてしまったことも報道された。28日の開幕前日会見から東京ドーム入りしていた紙巻き派の虎将は、ようやく発見した球場内地下の手狭な集煙機の下で3日間、球場入り直前だけ一服をするしかなかった。
だが、昨季までの大切なルーティンを崩されたことも影響してか、岡田虎は開幕初戦&第2戦と宿敵巨人を相手に連敗スタート。このままではアカン――。第3戦となったこの日の朝に球場入りした岡田監督は、喫煙所に足を運ぶことなく道一筋でベンチ裏へ直行。愛するチームのため〝一時禁煙〟を自身に課してまで、ゲンの悪かった動線を無理やり変更した。
野球の神様は百戦錬磨の指揮官の善行をしっかりと見ていた。「久々に采配ができた? おーん。久しぶりよ。そんなん。そら今日の勝ちは大きいよ。3連敗と1勝2敗じゃ全然違うからな」。勝利監督インタビューでは、すがすがしい笑顔を全国のお茶の間へ届けた。
「監督。ひとつだけ聞かせてください。今朝、喫煙所に足を運ばなかったのは、やっぱり〝ゲン担ぎ〟だったんですか?」とジャケット姿で帰途に就こうとする岡田監督を直撃すると「せやねん!」と歯切れよく応答。真っすぐに背筋を伸ばし、意気揚々と球場を後にした。
当面の間、東京ドーム決戦では節煙を余儀なくされることが濃厚な岡田監督。でも、大丈夫。阪神ベンチには、口寂しさを紛らわしてくれるパインアメが常備されているのだから――。












