身内からの〝声〟も必要――。練習試合・韓国ロッテ戦(25日、糸満)で今季初めて対外試合に登板したロッテ・佐々木朗希投手(22)は1回を投げ、1安打1奪三振無失点。最速154キロの直球も披露し、キャンプ地のファンを沸かせた。今オフのメジャー挑戦もささやかれる令和の怪物だが、熱い視線を送るMLBスカウトからは海を渡るための必要条件として、成績以外の「最重要ポイント」を挙げている。

 令和の怪物が先発マウンドで〝始動〟した。MLB関係者も注目する中、韓国ロッテを相手に1回を13球、1安打1奪三振無失点。相手2番の尹橦熙に左越え二塁打を浴びる場面もあったものの、本塁は踏ませず打者4人で初回を終わらせた。当初からの登板予定だった1イニングで降板し「ケガなく投げられて良かった。直球はまだまだ良くなってくる」と振り返った。

 この日でチームはキャンプを打ち上げ。今後はオープン戦などでイニングを増やしながらステップを踏んでいくことになるが、そんな佐々木の2024年シーズンには例年以上に大きな注目が集まっている。本人が熱望するMLB挑戦が同年オフに球団側から容認されれば、今季は必然的にNPBラストイヤーとなるからだ。

 とはいえ、何をもって日本球界から〝卒業〟していくのかは、今のところ本人も球団も一切明言していない。チームが目指す19年ぶりのリーグ優勝に貢献することが大前提なのは言うまでもないが、具体的な成績面での指針も特に示されてはいない。

 そうした中、将来的に右腕を受け入れる側になるMLBスカウトは、1年でも早い挑戦を歓迎する一方で「今年、ぜひ拾いたいこと」として興味深い発言を口にする。

 それは佐々木に対し、チームメートやスタッフからMLB挑戦を後押しする「声」だ。同スカウトは「その内容は何でもいい。彼がいかに秀でた選手であるかを一番、近くで見ている選手たちが具体的に証言する声」と続け、今季は長丁場のシーズンを佐々木とともにするロッテの面々からのリアル評価を、懸命に探したいという。

降板後、ベンチで試合を見る佐々木朗希(中)
降板後、ベンチで試合を見る佐々木朗希(中)

 なぜ、そこにこだわるのか。前出のスカウトは「ちょっと引っかかっている部分」として一軍初登板を果たしたプロ2年目から昨季までの3年間、マウンドでは圧倒的なパフォーマンスを見せることが多いにもかかわらず、最も近くで見ている同僚たちからの証言が意外にも少ないことを気にかけている。実は多くのMLB関係者が最も「拾いたいこと」こそ、こうした佐々木の米国行きを推す声なのだ。

「日本ハム時代の大谷(ドジャース)は周りの選手たちから、ジョークも込みで『早く(米国に)行けよ』とか、普通に言われていた。日本ハムの選手がインタビューで大谷に関して聞かれた時には、その大半が『米国でプレーする姿を早く見てみたい』と話す動画や記事もネット上に数多く残っている。『大谷なら絶対にできる』といったポジティブな表現でね。実際、彼はNPB最終年(2017年)は前年よりも投打ともに成績を大きく下げたけど、それでもチームメートたちからの声が変わることはなかった。いかに大谷が周りの選手たちから尊敬され、敬意を集めていたか。当時、彼を調査する立場だった我々もそれをすごく感じた」(前出スカウト)

 日本の至宝と言われる佐々木が、自らの夢をかなえる年にできるか。令和の怪物のパフォーマンスを実際に知り尽くすロッテの面々の〝口〟も、鍵を握ることになりそうだ。