駅員への暴力の6割は酔っぱらい――。大阪府のJR阪和線和泉府中駅のホームで、安全確認のために列車の窓から身を乗り出していた女性車掌の顔にツバや液体を吐いたとして、和泉署は20日、暴行容疑で岸和田市の会社員、林一也容疑者(43)を逮捕した。

 逮捕容疑は2日午後9時半ごろと5日午後10時45分ごろ、それぞれ30代の車掌2人の顔に、ツバや口に含んだアルコール液体を吐いた疑い。同容疑者は「ツバを吐いたことは思い出したが、液体を吐いたのは覚えていない」と一部否認しているという。

 ツバを吐きかける行為は、殴る蹴ると同じく暴行罪となるため逮捕案件だ。それどころか、コロナ禍の英ロンドン・ヴィクトリア駅では、新型コロナに感染していた男にツバを吐きかけられた駅員が2週間後に亡くなる事例もあった。

 今回、犯行時間帯からすると酔っぱらっていた可能性もある。

 都内の駅スタッフは「駅員への暴力事件の6割が飲酒の乗客によるものです。酔っぱらいからの暴言はよくありますが、帽子を手で払い落されたこともあります」と語る。

 駅員への暴力やカスタマーハラスメントが問題となり、国土交通省が実態調査を発表している。

 昨年末に国交省が公表した事例では、ホームで放尿していた客を注意したところ、首を絞められたという。終着駅到着後に座席で寝ていた客を起こしたら、頭突きされ、足を掛けられ、押し倒された例もある。残高不足の客が自動改札機を通れなかったため、駅員が自動精算機に案内したら顔を殴られた例もある。

 同省の「鉄道係員に対する暴力行為の発生状況」によると、2017年度は679件、18年度は670件、コロナ禍の19年度は611件、20年度は439件、年度は435件、コロナ明けの22年度は569件と戻してきている。そして22年度の54%が飲酒していたという。

 駅構内には駅員への暴力やカスハラの防止を訴えるポスターが貼っているが、酔っぱらいは見ていないのだろう。