オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第175回は「ババウソ」だ。

 山に出るカワウソの妖怪である。この妖怪の被害者は筆者に次のように教えてくれた。

 山中で野営を行っていたところ、なぜか朝になるとテントの前に大きな人糞がひねり出されている。

「うわっ、これは臭い! いったい誰がこんないたずらを仕掛けたのだろうか」

 被害者はうんこを土に埋め、まゆをひそめてテントを張る場所を変えた。次の日も朝起きてみると、明らかに土から掘り起こされたうんこと新しいうんこが並んで置かれている。

「なんてしつこいヤツなんだ。またしてもやられた」

 結局、またテントを張る場所を変えた。しかし朝になると、またしてもうんこがある。今度は土から掘り起こされた2つのうんこと真新しいうんこが鎮座していた。

「これはおかしいぞ。妖怪の仕業かもしれない」

 地元の老人に聞くと、それはカワウソの妖怪「ババウソ」の仕業であるという。

 一体これはどういうことであろうか。カワウソに化かされた人間が自らの大便を掘り起こしてしまったのであろうか。

 それにしてもババウソとはうまく表現したものである。ババとは関西の方言でうんこという意味だ。カワウソの「カワ」の二文字は「あ行」で、「ババ」の二文字も「あ行」のため韻を踏んでいるのだ。

 江戸時代、ある屋敷の前に朝になると巨大なうんこがしてあったという事件があった。これも同じ類いの妖怪であろうか。