〝アレ〟を現実に変えた。大阪国際女子マラソン(28日、ヤンマースタジアム長居発着=42・195キロ)で東京五輪代表の前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録をマーク。アテネ五輪金メダルの野口みずき氏が2005年に記録した2時間19分12秒を上回った。

 大一番で最高の輝きを放った。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で1位の鈴木優花(第一生命グループ)と2位の一山麻緒(資生堂)がすでにパリ五輪代表に内定済み。MGCで7位だった前田がパリ五輪切符を勝ち取るには、日本陸連の設定タイム(2時間21分41秒)を突破した上で、今大会か名古屋ウィメンズマラソン(3月10日)の2レースを合わせて最上位のタイムを記録する必要がある。

 1秒でも速いタイムを残したい中で、前田は21キロ過ぎにギアチェンジ。ペースメーカーより前に出て松田瑞生(ダイハツ)を置き去りにした。31キロ過ぎでウォルケネシュ・エデサ(エチオピア)に抜かれるも、日本人首位を最後までキープ。「後半は結構風が強く吹いたり、雨が降ってきたりして、最後どうなるかわからなかったが、沿道からのたくさんの応援がすごい力になった」と声を弾ませた。

 今大会は〝アレ=日本記録〟の更新を目標に掲げてきた。東京五輪後の苦しさを乗り越えての好走に「またもう一度しっかりマラソンで走ることができて、走るのはやっぱり楽しいなと思った」と充実の表情。リベンジを目指すパリ五輪出場へ大きく前進し「すごいうれしい。去年のMGCは練習の成果を出せなかったが、大阪はしっかり継続して練習やってこれて、今の力をしっかり出し切ることができた」と頬を緩めた。

 19年ぶりに女子マラソン界の歴史を塗り替えた前田。重かった重かった扉がついに開いた。