【プロレス蔵出し写真館】〝超獣〟ブルーザー・ブロディは涙を浮かべていた(写真)。牧師が追悼の言葉を贈ると、目頭を押さえた。
今から39年前の1984年(昭和59年)2月12日、東京・渋谷の東京バプチスト教会で、2日前に急死したデビッド・フォン・エリックの告別式が行われた。全日本プロレス「エキサイト・シリーズ」に参加していた外国人全選手(他にチャボ・ゲレロ、ジェリー・モロー、トーマス・アイビー、アレックス・スミルノフ、スーパー・デストロイヤー1号、2号)が参列し、ジャイアント馬場以下、全日本プロレスの選手とともに献花し、故人の冥福を祈った。
デビッドの父親は米テキサス州ダラスで〝エリック王国〟を築き上げていた〝鉄の爪〟フリッツ・フォン・エリック(ジャック・アドキッセン)。
エリックからプロレスの基礎を教えられたブロディは、エリック家の長兄ともいえる存在。弟ともいえるデビッドの死を誰よりも悲しんでいた。おでこにキスして最後の別れを告げた。
UNヘビー級王者のデビッドは9日に来日。宿泊先の高輪東武ホテルでの会見で、23日に蔵前国技館で行われる天龍源一郎戦への意気込みを語り、アイアンクローのポーズを披露した。
翌10日、開幕戦が行われる後楽園ホールに出発するためホテルにアテンドに行ったジョー樋口レフェリーは、集合時刻になっても姿を見せないデビッドを心配し、部屋を見に行くとベッドに仰向けに倒れ、冷たくなっているデビッドを発見した。
11日、全日プロは死因を急性腸炎と発表。25歳という早過ぎる死だった。
エリックには6人の息子が誕生し、幼少期に感電死した長男のジャックJr以外はすべてプロレスラーになっている。しかし、次男ケビンを除き、皆、不幸な死を遂げている。前出のデビッドは三男。
当時、最高峰のNWA世界ヘビー級王座にも就いた四男ケリーは、86年6月にバイクを運転中に交通事故に巻き込まれ両足首を複雑骨折、全身打撲の重傷を負った。再起不能とまで言われたが奇跡的に復活し、義足でファイトしていたが(当時は公然の秘密)93年2月にコカイン使用により起訴された。執行猶予中に再び使用して再逮捕され、有罪確定後に亡くなった。
エリック一家は〝呪われた一族〟と言われたのだった。
さて、そんなエリック一家の実話が映画化されたのは驚きだった。タイトルは一家の象徴「THE IRON CLAW(邦題はアイアンクロー)」で、日本では4月に公開される。
監督のショーン・ダーキンは自身を「プロレス狂」と呼ぶほど子どものころからのプロレスファンで、エリック兄弟には並々ならぬ想いがあったと語っている。「彼らの華やかなプロレスは観ていて最高に楽しかった。しかし、それよりも僕の心を捉えて離さなかったのは、彼ら家族の喪失の物語だった」(宣材から)。六男クリスに触れていないことには、疑問を呈している映画評もある。
出演はザック・エフロン(ケビン・フォン・エリック役)、ジェレミー・アレン・ホワイト(ケリー・フォン・エリック役)、ハリス・ディキンソン(デビッド・フォン・エリック役)ら。
宣材動画を視聴すると、ケビンとケリーのファイトぶりを再現していて、鍛えられた肉体はとても俳優には見えない。
AEWのマクスウェル・ジェイコブ・フリードマン(MJF)がエグゼクティブ・プロデューサー、チャボ・ゲレロ・ジュニアがプロレスシーンのコーディネーターを務め、それぞれレスラー役で劇中にも登場する。
ところで、エリックは親日家として知られ、常設会場のダラス・スポータトリアムにアポなしで訪問してもリングサイドでの取材を許可してくれた。エリックが不在でもウェルカムの姿勢がスタッフにも浸透していたので、東スポを始めプロレスマスコミは気軽に立ち寄った。
日本プロレスでの馬場とのインター王座を巡る激闘をテレビで見て、エリックのアイアンクローの恐怖を知っている世代からするとギャップはあったが…。
悲劇の一家がどう描かれているのか…。非常に興味をかきたてる作品が4月5日から日本公開される(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る














