やはり波乱の連続となった昨年大みそかの格闘技イベント「RIZIN.45」(さいたまスーパーアリーナ)を、〝バカサバイバー〟こと青木真也(40)が3回に分けて分析する。初回の〝標的〟は、いろんな意味で話題となったバンタム級とフライ級の2大王座戦だ。2024年も、青木が格闘技界の話題に鋭くメスを入れる!

【青木真也のRIZIN大みそか徹底解析(1)】セミで行われた朝倉海(30)vs フアン・アーチュレッタ(35=米国)のRIZINバンタム級王座戦は、試合前から大波乱だった。12月30日の前日計量で王者のアーチュレッタが、規定を2.8キロ超える63.8キロでクリアできず王座はく奪。話し合いの結果、試合1時間前に行うアーチュレッタの計量が68キロ以下であることを条件に、海が勝てば新王者に、負ければ試合はノーコンテストで王座は空位となるとしてゴングが鳴らされた。

 試合は朝倉海が劇的勝利。1ラウンド(R)開始直前、レッドカードで50%の減点が告げられたアーチュレッタが積極的に前に出るも、朝倉海が出はなをくじくように打撃をヒットさせてダメージを蓄積させる。すると2R中盤タックルに来たアーチュレッタのみぞおちにテンカオ(カウンターのヒザ蹴り)を合わせてダウンさせ、追撃のパウンドで2R3分20秒でTKOとなった。

 この結末は直前の青木のほぼ予想通り。だが、感想を求めると「前提条件があまりにも…だと思う」とため息交じりに声をしゃがれさせ、こう続ける。

「68キロの戻し制限で50%の減点でスタートって、アーチュレッタにしたら特攻してぶっ倒して引き分け(ノーコンテスト)にするしか選択肢がないってこと。本来、アーチュレッタはテークダウンして上を取って殴りながらポイントを取って僅差で競り勝つ選手なのに、それができない。そりゃヒザも入るだろ。〝処分〟が戦術に影響しちゃってる。やりすぎだと思う」

 だが、約3キロもの計量をミスしたのはアーチュレッタだ。重い処分も仕方ないように思えるが、青木は「いや、普通はタイトル戦で試合を成立させないといけないとしたら、海外なら〝戻し制限〟じゃなくて、キャッチウエートで勝敗は普通につける。それで王座だけはアーチュレッタが勝てば空位で朝倉が勝てば新王者ってことにするだろ」と力説。その上で「でもまあ、これでアーチュレッタはカルマ解消できたからいいんじゃないですかね」と口にした。

神龍誠をリアネイキッドチョークで下した堀口恭司
神龍誠をリアネイキッドチョークで下した堀口恭司

 続いて、メインで堀口恭司が神龍誠を下し、RIZINフライ級王者となった一戦に言及。神龍に意外な苦戦を強いられるも2Rに3分44秒、リアネイキッドチョークで勝利し、試合後に元RIZINガールでタレントの川村那月へのプロポーズも成功させる大ハッピーエンドになった。

 これに青木は「ホッとしましたよ。もし相手がギャビ・ガルシアとか、10代とかだったらどうしようかと思った。ちゃんとラウンドガールで良かったです、はい」と、謎に胸をなでおろす。

 試合内容については、戦前に堀口の圧勝を予想していたが「堀口さんが思ったよりも〝斜陽〟だった。当たり前なんだけど『堀口恭司も年を取るんだな…』と思わされた。神龍さんの作戦が当たっていたら、結果がひっくり返っていた可能性は十分あるよ。『5R戦だったら』と思わせるものだった」とメガネを光らせる。

 堀口のどこにそこまでの変化を感じたのか。青木は「打撃にかつてほどの自信がなくなっているように見えたし、組まれて分が悪い局面があった。誰でもそうだけど、反応が遅れてくるんだよ。ダメになるのは目から来る。俺の場合は36とかで実感したけど、軽量級はもう少し早いんだと思う」と指摘。そして「でも、ここからが格闘技の面白いとこであって…」としてこう続ける。

「みんな年齢による〝衰え〟をなかなか認めないけど、それを認めてからが面白いんだよね。堀口さんはもう認めていると思う。実際、今回ステップを続けているようで要所要所で休んでいたし、自分が動いているようで、実は神龍を動かしていた。まさに武藤敬司なんだ。そういう意味で今後の堀口さんを見たいよね」

 新年を迎えても、どうやらその切れ味は変わらないようだ。次にその舌鋒が向けられたのは、MMAデビュー戦で明暗がクッキリ分かれた皇治と芦澤竜誠で…。